複合加工機による一貫加工で実現する高品質と短納期 – 榊原工機が切り拓くものづくりの新境地

2025年9月24日
#ブログ
有限会社榊原工機|小物部品の少量~中量生産に特化|ガレージブランド・個人ブランド”の試作開発も

ガレージブランドや個人ブランド、そして製品開発に携わる企業の皆様にとって、「高品質」と「短納期」は永遠のテーマですね。

「複数の工程を別々の業者に依頼していて、段取り替えや移動で時間がかかってしまう」 「複雑な形状の部品で、どうしても加工精度にばらつきが出てしまう」 「試作段階なのに納期が長くて、製品開発が滞ってしまう」

こうした課題をお持ちではありませんか。実は、これらの悩みを一気に解決する強力な手段があります。それが「複合加工機による一貫加工」です。

榊原工機では、この複合加工機を単なる最新設備として導入するのではなく、「クリエイティブなものづくり哲学」と「考えて動く多能工エンジニア」の知恵と融合させることで、従来では難しかった高品質と短納期の両立を実現しています。

この記事では、なぜ複合加工機による一貫加工が革新的なのか、そして榊原工機がどのようにしてお客様の複雑な要求に応え、高品質と短納期を同時に実現しているのか、その技術と哲学について詳しくご紹介します。

複合加工機とは? 一貫加工がもたらすものづくりの革新

複合加工機の基本原理:旋削とミーリングの融合

複合加工機とは、その名の通り複数の加工機能が一台に統合された工作機械です。具体的には、旋削加工(材料を回転させて削る旋盤の機能)とミーリング加工(工具を回転させて削るマシニングセンタの機能)を同時に実行できる画期的な機械です。

従来の加工では、まず旋盤で丸物の加工を行い、その後マシニングセンタに載せ替えて平面加工や穴あけ加工を行うという、複数の工程を経る必要がありました。しかし複合加工機なら、これらの作業をワーク(加工対象物)の段取り替えなしに一貫して実行できます。

まさに「穴加工まで1台でできる」という驚異的な効率性を実現する機械なのです。

段取り替えが激減することの意味

「段取り替え」とは、ワークを一つの機械から外して別の機械に取り付けることです。この作業は単純に見えますが、実は製造現場では大きな時間ロスとなっています。

例えば、ある部品加工で旋盤からマシニングセンタに移す場合を考えてみましょう。まず旋盤でワークを外し、マシニングセンタに正確に位置決めして固定する必要があります。この作業だけで30分から1時間かかることも珍しくありません。

複合加工機なら、一度セットすれば全工程が完了するため、この段取り時間が完全に不要になります。

位置決め精度が飛躍的に向上する理由

機械を移す際に最も困るのが位置決め誤差です。どんなに注意深く作業しても、ワークを別の機械に移せば必ず微小な位置ずれが発生します。

「前の工程でφ20mmの穴を開けたのに、次の工程でその穴に部品を挿入しようとしたらずれていた」

こんな経験はありませんか。複合加工機による一貫加工なら、ワークを一度固定したらそのまま全工程を実行するため、位置決め誤差が原理的に発生しません。

実際の現場では、従来の方法で±0.05mmの公差が限界だった部品が、複合加工機では±0.01mmまで精度向上したという事例もあります。

複雑形状部品への対応力が格段にアップ

現代の製品は、軽量化や機能性向上のため、ますます複雑な形状が求められています。例えば、円筒形状の本体に複数の角度から穴を開け、さらに側面に溝を掘るような部品を想像してみてください。

従来なら旋盤、マシニングセンタ、場合によっては専用治具まで作成する必要がありました。しかし複合加工機なら、これらの複雑な加工を一台で完結できます。

榊原工機では、医療機器部品で直径10mmの円筒に8本の異なる角度の穴を開ける案件を、複合加工機で一発加工した実績があります。従来なら3工程必要だったものが、1工程で完了しました。

榊原工機の「CREATIVE」なものづくり哲学と複合加工機

頭脳を旋盤のように高速回転させる思考プロセス

榊原工機がお客様に「いつもベストパフォーマンスで応える」理由は、単に高性能な複合加工機を保有しているからではありません。その根底には、機械を最大限に活かすための独自の「考えて動く」ものづくり哲学があります。

部品製作の依頼があった時、私たちのエンジニアは材料の選定から深く検討を始めます。

「材料は角から削ろうか、丸から削ろうか」 「機械は5軸か複合加工機なら穴加工まで1台でできるけど、今日は2台とも埋まっている。特急案件だから、すぐ動けるマシニングと旋盤で工程を組もう」

このように、複合加工機が最適でも稼働状況によって柔軟に対応する思考力。これこそが榊原工機の強みです。

加工順序の最適化という芸術

複合加工機で複雑な形状を加工する際、旋削工程とミーリング工程をどのように組み合わせるかは、まさに職人の腕の見せどころです。

「どの順番で削るのがベストだろうか」

この判断一つで、加工時間が半分になったり、逆に倍になったりします。榊原工機のエンジニアは、長年の経験から最適な加工順序を瞬時に判断します。

例えば、薄肉の円筒部品では、最初に内径を仕上げると外径加工時に変形してしまいます。しかし外径を先に粗加工し、内径を仕上げてから外径を仕上げることで、変形を最小限に抑えられます。

固定治具設計の重要性

「固定治具は?」

この一言に、複合加工機の成功が左右されます。一度の固定で全工程を実行するため、治具の設計が加工精度と安定性に直結するのです。

榊原工機では、部品形状に応じて専用治具を設計することもあります。特に薄肉部品や変形しやすい材料では、加工中の切削力による変形を防ぐ工夫が必要です。

ある航空宇宙部品では、加工中の熱変形を防ぐため、治具に冷却機構を組み込んだこともあります。このような創意工夫が、他社では難しいと言われる加工を可能にしています。

プログラミングの精密さが決定的な差を生む

複合加工機のプログラミングは、旋削とミーリングの異なる加工モードを統合するため、非常に高度な技術が必要です。

「プログラムは?」

この段階で、CAMソフトウェアを駆使した緻密なプログラム作成が始まります。工具干渉のチェック、加工シミュレーション、最適な工具パスの生成など、すべてが加工品質に直結します。

榊原工機では、実際の加工前に必ずシミュレーションを実行し、問題がないことを確認してから加工に入ります。これにより初回から高精度な部品を製作できるのです。

複合加工機の真価を引き出す「多能工エンジニア」

幅広い加工技術の知識が活かされる現場

榊原工機の多能工エンジニアは、旋盤、マシニング、ワイヤー加工が得意な精密切削加工のプロフェッショナルです。この幅広い知識こそが、複合加工機の最適運用を可能にしています。

例えば、ある医療機器部品の加工では、旋削で基本形状を作成し、ミーリングで複雑な溝加工を行い、最後にワイヤーカットで精密な切り欠きを入れるという工程が必要でした。

各工程の特性を熟知したエンジニアだからこそ、最適な加工順序と条件を設定し、一発で高精度な部品を完成させることができました。

工具選定と加工条件の最適化技術

複合加工機では、一台で様々な加工を行うため、使用する工具の種類も多岐にわたります。エンドミル、ドリル、タップ、旋削用バイトなど、それぞれに最適な切削条件があります。

「この材料にはこの工具、この条件で」

多能工エンジニアは、材料の特性を瞬時に判断し、最適な工具と加工条件を設定します。

ステンレス鋼の加工では、切削熱による工具摩耗を防ぐため、切削液の選定と供給方法も重要です。榊原工機では、材料ごとに最適化されたデータベースを構築し、常に最良の加工条件で作業を行っています。

リアルなトラブル事例への対応力

「マシニング・旋盤・5軸加工機のリアルなトラブル事例をこっそり公開」という言葉通り、加工現場では予期せぬトラブルが発生することがあります。

ある日、複合加工機で航空宇宙部品を加工中、突然加工音が変わりました。経験豊富なエンジニアは即座に加工を停止し、工具の摩耗を発見。工具交換と加工条件の微調整で、品質を保ったまま加工を継続できました。

このような瞬時の判断力は、長年の経験と深い技術知識があってこそ可能です。

金属も樹脂も対応する材料への深い理解

榊原工機は「手のひらサイズの部品を中心に、小物部品なら何でも加工OK。金属も樹脂もご相談ください」と謳っています。

これは単なるキャッチフレーズではありません。多能工エンジニアは、ステンレス、真鍮、アルミなどの金属はもちろん、エンジニアリングプラスチックなどの樹脒素材の加工にも精通しています。

樹脂加工では、切削熱による溶着や変形を防ぐため、金属加工とは全く異なる加工条件が必要です。適切な工具形状、低い切削速度、効果的な除熱方法など、材料特性を深く理解したエンジニアだからこそ可能な技術です。

複合加工機による一貫加工がもたらすお客様への価値

圧倒的な高品質と安定した精度の実現

複合加工機による一貫加工の最大のメリットは、段取り替えに伴う位置決め誤差が原理的に発生しないことです。これにより実現される品質向上は、数値で見ると驚くべきものがあります。

従来の方法では、±0.05mmが限界だった加工精度が、複合加工機では±0.01mmまで向上した事例があります。これは5倍の精度向上を意味します。

特にガレージブランドの製品に求められる、細部までこだわり抜いた精密な仕上がりを実現するために、この精度向上は不可欠な要素です。

驚異的な短納期の実現メカニズム

「加工に困った。納期に困った。いろいろ相談するよりも榊原工機1社で解決できることが多いです」

この言葉の裏には、複合加工機による圧倒的な時間短縮効果があります。

従来なら旋盤で2時間、段取り替えで30分、マシニングで1.5時間、合計4時間かかっていた加工が、複合加工機なら2時間で完了します。これは単純計算で50%の時間短縮です。

急ぎの部品加工では、この時間短縮が決定的な差となります。お客様の製品開発サイクルを加速させ、市場投入までの時間を大幅に短縮できるのです。

トータルコスト効率の改善

一貫加工によるコスト改善効果は、単純な加工時間短縮だけではありません。

段取り時間の削減により、人件費が削減されます。機械間の移動時間削減により、納期が短縮され、お客様の在庫コストも削減されます。工具交換回数を最適化することで、工具費も削減できます。

これらの間接的なコスト削減効果まで含めると、トータルでのコスト効率は大幅に改善されます。

複雑形状部品への対応力で設計の自由度が向上

旋削加工とミーリング加工を一台で完結できることで、従来では加工困難だった複雑形状部品も効率的に製作できます。

例えば、円筒部とフランジ部が一体となった部品で、両方に精密な穴あけや溝加工が必要な場合。従来なら複数の工程と専用治具が必要でしたが、複合加工機なら一度の段取りで完成します。

これにより、設計者は従来の加工制約から解放され、より創造的で革新的なデザインを追求できるようになります。機能性と美しさを両立した製品開発が可能になるのです。

少量・試作生産での圧倒的な優位性

「榊原工機は少量・試作にトコトン強い会社です」

この強みを支えているのが、複合加工機による一貫加工です。

試作開発では、設計変更が頻繁に発生します。従来の方法では、設計変更のたびに複数の機械の段取りを変更する必要がありました。しかし複合加工機なら、プログラム変更だけで対応できることが多く、変更に対する柔軟性が格段に向上します。

また、少量生産では段取り時間の比率が高くなりがちですが、一貫加工により段取り回数を削減できるため、小ロットでも効率的な生産が可能です。

あたたかい町工場の環境が育む技術力

木のぬくもりと緑にあふれた工場

榊原工機の工場は、お客様から「工場らしくない」「あたたかい町工場」と評価されています。この環境づくりには深い意味があります。

従来の工場の無機質なイメージを覆し、お客様が気軽に相談しやすい雰囲気を大切にしているのです。ホームセンターとお風呂屋さんに挟まれた場所にある工場の1階で金属加工を行い、2階には木の温もりを感じる事務所があります。

「階段下のピンポンを押して、ぜひ2階の事務所へお越しください」

このオープンな姿勢が、お客様との密な対話を可能にしています。

人懐っこい黒猫ノア君の存在

「たまに人懐っこい黒猫のノア君が皆様をお出迎えすることもあります」

この一文からも分かるように、榊原工機は技術力だけでなく、人間味あふれる環境づくりを大切にしています。

リラックスした環境だからこそ、お客様は「この複合加工機でどこまでできるの?」「こんな複雑な形状、本当に高品質で短納期でできるかな?」といった率直な疑問を気軽に相談できるのです。

密なコミュニケーションが生む技術革新

「もしお急ぎの場合は、社長はお話し好きなのでメールで返信を待つより、電話して事情を説明することをお勧めします」

この言葉が示すように、榊原工機では人と人との繋がりを重視しています。

お客様の熱い思いや細かなニュアンスをじっくりと聞き、複合加工機をはじめとする設備と多能工エンジニアの知見を融合させて、最適な加工方法を一緒に見つけ出します。

この密なコミュニケーションこそが、単なる受託加工を超えた、真のパートナーシップを生み出しているのです。

複合加工機と多様な設備群のシナジー効果

5軸加工機との連携で可能性が無限に広がる

榊原工機では、複合加工機単体だけでなく、「バリエーション豊かな設備群」との連携でさらなる付加価値を生み出しています。

「機械は5軸か複合加工機なら穴加工まで1台でできるけど、あいにく今日は2台とも埋まっている。特急案件だから、すぐ動けるマシニングと旋盤で工程を組もう」

この柔軟性こそが、お客様の多様なニーズに応える原動力です。

5軸加工機は複雑な三次元自由曲面加工に特化しており、複合加工機とは異なる得意分野があります。部品の形状や要求精度に応じて最適な機械を選択し、時には連携させることで、単独では不可能な高度な加工も実現できます。

ワイヤーカット加工との組み合わせ効果

「【今さら聞けない】ワイヤーカット加工とは?精密加工のプロが解説する基礎知識」にあるように、ワイヤーカットは熱の影響を抑えながら、ミクロン単位の超精密な切断加工が可能な技術です。

複合加工機では加工困難な極めて薄い形状や、高硬度材の精密な切り出しなどで、両者を組み合わせることで相乗効果を生み出します。

例えば、複合加工機で基本形状を作成し、ワイヤーカットで最終的な精密形状に仕上げるという工程設計により、それぞれの長所を最大限に活用できます。

マシニングセンタ・旋盤との柔軟な連携

複合加工機が稼働中でも、汎用性の高いマシニングセンタや旋盤を組み合わせることで、特急案件や大量の部品加工に柔軟に対応します。

多能工エンジニアは、各機械の特性を熟知しているため、最適な機械選定と工程設計を瞬時に判断できます。これにより、お客様の納期やコストの要望に合わせた最適な生産計画を立てることが可能です。

「いろいろ相談するよりも榊原工機1社で解決できることが多いです」

この言葉の裏には、多様な設備と技術力の融合があるのです。

まとめ:あなたのアイデアを現実に変える技術力

榊原工機の複合加工機による一貫加工は、単なる効率化ツールではありません。それは、お客様のクリエイティブなアイデアを高品質・短納期で現実化するための、総合的なソリューションです。

「クリエイティブなものづくり哲学」と「考えて動く多能工エンジニア」、そして「あたたかい町工場」の環境。これらが一体となって初めて、複合加工機の真価が発揮されます。

ガレージブランドや個人ブランドの皆様、製品開発に携わる企業の皆様。あなたの素晴らしいアイデアを、私たちと一緒に現実のものにしませんか。

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榊原工機は、お客様の「ものづくり」の夢を現実にするため、技術と知恵を総動員し、全力でサポートいたします。複合加工機による一貫加工がもたらす「高品質」と「短納期」のメリットを、ぜひあなたの製品開発にご活用ください。