「いろいろ相談するより1社で解決」お客様の声から見える、一社完結体制の本当の価値

2025年10月31日
#ブログ
有限会社榊原工機|小物部品の少量~中量生産に特化|ガレージブランド・個人ブランド”の試作開発も

はじめに:複数の業者に相談する前に知っておきたいこと

製品開発や部品調達を担当されている方なら、一度はこんな経験をされたことがあるのではないでしょうか。「この材質で加工できる業者はどこだろう」「旋盤加工はA社、表面処理はB社、検査はC社…」と、工程ごとに業者を探し回る日々。見積もり依頼を出しても返事が遅かったり、断られたり。ようやく発注できても、納期調整や品質確認で何度も連絡を取り合う必要があります。

私たち有限会社榊原工機には、お客様から「いろいろ相談するよりも榊原工機1社で解決できることが多いです」というありがたいお言葉をいただくことがあります。この言葉には、複数の業者に分散して発注する際の「見えないコスト」と「隠れたリスク」から解放された、お客様の実感が込められています。

今回のブログでは、なぜ私たちが「機械部品加工の駆け込み寺」として、一社完結体制にこだわり続けているのか。そして、それがお客様にどんなメリットをもたらすのかを、現場の視点から詳しくお伝えします。

第1章:技術の統合がもたらす「加工ルートの最適化」

複数業者発注の見えない落とし穴

工程を分散させる最大のリスクは、実は「技術の連携が途切れること」にあります。例えば、旋盤加工を終えた部品を次の業者に送り、マシニング加工を依頼する。一見、効率的に見えるこの方法ですが、実際の現場では様々な問題が発生します。

前工程の仕上がりが次の工程に適していない、加工基準面の設定が食い違う、工程間の輸送で傷がつく、不良が出たときに責任の所在が曖昧になる…こうした問題は、想像以上に時間とコストを浪費します。

私たちの「考えて動く」エンジニア

榊原工機では、「クリエイティブにものづくりをしています」を合言葉に、エンジニアたちが頭をフル回転させています。ある日、緊急の加工依頼が入りました。複雑な形状で、本来なら5軸加工機を使えば1台で完結できる案件です。しかし、その日は5軸加工機も複合加工機も既に稼働中。納期は待ったなしです。

そこで、エンジニアは「頭を旋盤のように高速回転」させました。「旋盤で外径を仕上げて、マシニングで穴あけ、最後にワイヤーカットで細部を仕上げよう。この順番なら、今空いている設備で最短ルートを組める」。このような瞬時の判断と工程組み替えは、複数の設備と技術を持ち、それらを熟知したエンジニアがいる一社完結体制だからこそ可能なのです。

設備の「組み合わせ力」が生む柔軟性

当社が保有する設備は、5軸加工機、複合加工機、ワイヤーカット、旋盤、マシニングなど多岐にわたります。ここで重要なのは、単に設備があることではなく、「どの設備とどの設備を組み合わせれば最適か」を判断できる技術力です。

複雑な部品加工では、一つの工程だけで完結することはほとんどありません。旋盤で外径を整え、マシニングで穴を開け、ワイヤーカットで精密な溝を加工する。こうした工程を社内で連携させることで、工程間の待ち時間をゼロにし、品質基準を統一できます。

さらに、材質についても「金属も樹脂もご相談ください」という対応力を持っています。他社で断られがちな焼入れ鋼への追加工についても、まずはご相談いただければ可能性を探ります。材質によって業者を変える必要がないということは、お客様にとって大きな時間短縮になるはずです。

第2章:経験が生む「納期厳守」の確実性

小ロット・試作専門工場としての知見

榊原工機は、長年にわたり少量生産と試作開発を専門としてきました。この分野では、大量生産とは異なる難しさがあります。仕様変更が頻繁に起こり、予期せぬトラブルに迅速に対応しなければなりません。こうした経験の蓄積が、納期に対する確実性を支えています。

工程間の「見えないロス」を排除する

複数の業者に分散発注すると、どうしても工程間にロスが生まれます。A社での加工が終わり、B社に輸送し、B社のスケジュールに組み込まれるまで待ち、加工が完了したら今度はC社へ…。この間、部品はただ移動し、待機しているだけです。

一社完結なら、このロスがゼロになります。旋盤加工が終わったら、そのまま隣のマシニングセンタへ。工程間の移動は数メートル、待ち時間もほぼありません。急ぎの案件では、この差が決定的になります。

トラブル発生時の迅速なリカバリー

加工現場では、どんなに注意していてもトラブルは起こります。工具の摩耗、材料の個体差、設備の微妙な調子の変化…。私たちは、マシニング・旋盤・5軸加工機でのリアルなトラブル事例を公開していますが、これは「トラブルは起こるもの」という前提で、いかに迅速にリカバリーするかが重要だと考えているからです。

一社で対応していれば、トラブルが発生しても、原因究明から工程の組み替え、再加工までを一気通貫で行えます。複数の業者にまたがっていると、「どこに原因があったのか」「誰が責任を取るのか」といった問題に時間を取られ、納期への影響が拡大してしまいます。

お急ぎなら電話でご相談を

納期に困った時、メールで問い合わせて返信を待つよりも、直接電話でご相談いただくことをお勧めしています。実は社長はお話し好きで、電話で事情を説明していただければ、その場で「この方法なら間に合います」「今なら設備が空いているので優先的に対応できます」といった具体的な提案ができます。

緊急時こそ、最速のコミュニケーションが重要です。複雑な状況を口頭で伝えることで、プロの迅速な意思決定を引き出せます。これは、長年の経験から学んだ、納期厳守のための実践的な方法なのです。

第3章:統一された品質基準が生む安心感

品質認識のギャップという見えない敵

複数の業者に相談すると、それぞれが異なる品質基準や解釈を持っているため、「品質認識のギャップ」が生まれます。発注側が考える「精度」と、各業者が考える「精度」が微妙にずれていると、最終的な製品が期待と違うという事態になりかねません。

削り出し製品で培った高精度へのこだわり

当社では、自社製品として「SAKAKI PUTTER」というゴルフパターを開発・製造しています。これは5軸加工技術を駆使した削り出し製品で、最高精度を追求しています。この製品開発で培った技術力と品質基準が、すべての受託加工にも適用されています。

厳しい品質基準に満たない不良品は、たとえコストがかかっても捨てるという哲学を持っています。これは、お客様の最終的な品質リスクを回避するための戦略です。一社完結であれば、この統一された高い品質基準のもとで、すべての工程が管理されます。

知識提供者としての責任

私たちは、ブログやウェブサイトを通じて「プロに聞きました」シリーズや「今さら聞けない」シリーズなど、業界の知見を積極的に発信しています。見積依頼のコツ、部品加工の見積内訳、ワイヤーカット加工の基礎知識など、発注担当者の方々が実務で役立つ情報を提供しています。

一社に依頼することで、こうしたプロの知識を効率的に得て、自社の調達戦略に活かすことができます。窓口を一本化することは、技術的な相談相手を一人の専門家に絞ることでもあるのです。

海外調達との比較で見える確実性の価値

コスト削減のために中国などの海外に工程を分散させる戦略もありますが、これには品質の不安定さ、納期の遅延、コミュニケーションの難しさというリスクが伴います。当社が公開している「中国調達のリアル──現場から見るトラブル事例と対応策」でも、その実態をお伝えしています。

価格だけを追求するのではなく、確実性と信頼性を重視される発注者にとって、国内での一社完結調達は圧倒的な優位性を持ちます。

第4章:「あたたかい町工場」が育む信頼関係

工場っぽくない外観が象徴するもの

榊原工機の外観は、いわゆる「町工場」のイメージとは少し違います。「工場っぽくない外観が自慢です」というのは、私たちなりのこだわりです。2階の事務所は木の温もりを感じる空間になっており、「あたたかい町工場」という言葉がぴったりです。

このオープンな環境は、お客様との信頼関係を深めるために重要だと考えています。敷居が高くない、気軽に相談できる。そんな雰囲気づくりが、技術的な相談をしやすくし、結果として最適な解決策を導き出すことにつながります。

コミュニケーションコストの削減

試作開発では、仕様変更や品質確認が頻繁に発生します。複数の業者とやり取りしていると、それぞれに図面を送り、3Dデータを共有し、納期を調整し…というコミュニケーションだけで膨大な時間を取られます。

窓口を一本化することで、発注担当者の方は本来の設計業務や製品の市場戦略に集中できます。連絡先は一つ、相談相手も一人。このシンプルさが、業務効率を大きく向上させます。

創造性を引き出すパートナーシップ

特にガレージブランドや個人ブランドの試作開発を積極的に支援している当社にとって、お客様との深い対話は欠かせません。複数の業者に工程を分割してしまうと、それぞれの工程で設計意図が薄れてしまいます。

一社に集中することで、製品への熱意やデザインの意図を直接伝えることができます。私たちは単なる下請けではなく、「共に作品を創造するパートナー」として、お客様のアイデアを形にするお手伝いをしたいと考えています。クリエイティブなものづくりは、こうした信頼関係の上に成り立っています。

第5章:「駆け込み寺」として解決できること

加工に困った時の相談先

「他社で断られた」「特殊な材質で対応できる業者が見つからない」「納期が厳しくて困っている」。こうした「加工に困った」というご相談を、私たちは「機械部品加工の駆け込み寺」として数多く受けてきました。

手のひらサイズの小物部品の少量生産や試作は、大手企業にとっては採算が合わない案件です。しかし、私たちのような小ロット専門工場にとっては、まさに得意分野。多様な設備と多能工のエンジニア、そして柔軟な対応力で、難題を解決してきました。

一社完結がもたらす総合的なメリット

ここまでお伝えしてきた内容を整理すると、一社完結体制がもたらすメリットは次のようになります。

技術面では、複数の加工技術を統合し、最適な加工ルートを設計できます。材質の制約もなく、金属から樹脂まで幅広く対応できます。工程間の品質基準を統一し、技術的なギャップを解消できます。

納期面では、工程間のロスをゼロにし、輸送時間や待ち時間を排除できます。トラブル発生時も迅速にリカバリーでき、納期への影響を最小限に抑えられます。緊急時の電話相談で、その場で最適な対応策を提案できます。

コスト面では、複数業者への見積もり依頼や連絡調整にかかる時間を削減できます。不良品が出た際の責任の所在が明確で、再加工の判断も迅速です。工程間の輸送コストや管理コストを削減できます。

品質面では、統一された高い品質基準のもとで全工程を管理できます。工程間での品質認識のギャップがなく、最終製品の品質が安定します。不良品は捨てるという厳格な哲学で、お客様のリスクを回避します。

お客様の声が示す実感

冒頭でご紹介した「いろいろ相談するよりも榊原工機1社で解決できることが多いです」というお客様の声は、こうしたメリットを実際に体験された方の実感です。複数の業者に相談する手間、工程間のロスや不安、品質のばらつき…こうした「見えないコスト」から解放されたことへの評価だと受け止めています。

まとめ:「1社で解決」は、リスクを統合し、価値を最大化する選択

製品開発や部品調達において、「どこに発注するか」という判断は、単なる価格比較ではありません。技術力、納期の確実性、品質の安定性、そしてコミュニケーションのしやすさ。これらすべてを総合的に評価する必要があります。

一社完結体制は、複数の業者に分散発注することで生じる様々なリスクを統合し、シンプルで確実な解決策を提供します。私たち榊原工機は、多様な設備、多能工のエンジニア、長年の経験、そして「あたたかい町工場」としての信頼関係を基盤に、この一社完結体制を実現しています。

もし今、「加工に困った」「納期に困った」という課題を抱えておられるなら、ぜひ一度ご相談ください。お急ぎの場合は、メールよりも電話でのご相談をお勧めします。お客様の課題を一緒に解決する「駆け込み寺」として、クリエイティブなものづくりでお応えします。

お問い合わせ・ご相談について

榊原工機では、部品加工に関するお見積もり・お問い合わせを随時受け付けています。特に緊急の案件やご不明な点がある場合は、お電話でのご相談が最も迅速です。

所在地:〒486-0932 愛知県春日井市松河戸町2-5-15
電話番号:0568-36-1628
受付時間:9:00-17:00(12:00-13:00を除く)
休日:土・日・祝日

手のひらサイズの小物部品、少量生産、試作開発、特急案件など、どんなご相談でもお気軽にお問い合わせください。私たちが「機械部品加工の駆け込み寺」として、一社完結の強みを活かした最適なソリューションをご提案します。