はじめに:榊原工機が目指す、新しい町工場の形
こんにちは。愛知県春日井市で金属部品の加工を手がけている、有限会社榊原工機です。
「町工場」と聞いて、皆さんはどんな風景を想像されるでしょうか。油の匂いが漂う無機質な建物、作業着を着た職人が黙々と機械を動かす姿。そんなイメージを持たれる方も多いかもしれません。
しかし、私たち榊原工機は少し違います。「工場っぽくない外観が自慢です」と公言しているほど、従来の工場のイメージとは一線を画した空間づくりにこだわっています。
実際、初めて弊社を訪れるお客様からは「本当にここが工場なんですか?」と驚かれることも少なくありません。ホームセンターとお風呂屋さんに挟まれた立地で、外観はまるでカフェやデザイン事務所のよう。でも、中に入れば最先端の切削加工技術を駆使した、本格的なものづくりの現場が広がっています。
この記事では、なぜ私たちがこのような「あたたかい町工場」を目指しているのか、そしてどのような技術と姿勢でお客様のものづくりをサポートしているのかをお伝えします。
木のぬくもりと緑にあふれた「あたたかい町工場」という選択
なぜ「工場らしくない」空間にこだわるのか
私たちが「工場っぽくない」空間づくりにこだわる理由。それは、お客様に安心してご相談いただける場所でありたいという想いからです。
特に、初めて部品加工を依頼される方や、試作開発に不安を感じている個人のクリエイターの方にとって、従来の工場は敷居が高く感じられることがあります。「こんなこと聞いても大丈夫かな」「迷惑じゃないかな」と躊躇してしまう。そんな心理的なハードルを少しでも下げたいと考えました。
弊社の1階では金属加工の製造現場が稼働していますが、2階は木の温もりを感じる事務所スペースになっています。階段下のピンポンを押していただければ、どなたでもお越しいただけます。
時には黒猫のノア君が皆様をお迎えすることも。このような環境は、単なる取引先ではなく、一緒にものづくりを考えるパートナーとしてお客様と向き合いたいという私たちの姿勢の表れです。
地域に溶け込む町工場として
春日井市という場所で、地域の皆様と共に歩んでいくこと。これも私たちの大切な役割だと考えています。
工業地帯から離れた立地だからこそ、地域社会に溶け込みながら、ものづくりの面白さや価値を発信していける。そんな存在でありたいと思っています。
お客様との距離が近いこと、気軽に相談できる雰囲気があること。これらは、複雑な部品加工や試作開発において、実は非常に重要な要素です。図面だけでは伝わらないニュアンスや、「こういうイメージなんだけど」という曖昧な段階からのご相談も、お互いの距離が近いからこそスムーズに進められるのです。
少量・試作にトコトン強い理由:技術と柔軟性の融合
手のひらサイズの小物部品が得意です
私たち榊原工機が特に力を入れているのが、「手のひらサイズ」の小物部品加工です。
大量生産品とは異なり、少量・試作の世界では一つ一つの案件に柔軟な対応が求められます。材質も形状も数量も、お客様によって千差万別。金属も樹脂も相談可能で、ステンレス、真鍮、アルミニウムなど、様々な材質に対応しています。
「たった1個だけなんだけど、作ってもらえますか?」というご相談も大歓迎です。むしろ、そういった「困りごと」にお応えするのが、私たちの得意分野なのです。
精密切削加工のプロとして、特に旋盤加工、マシニング加工、ワイヤーカット加工を得意としています。これらの技術を組み合わせることで、高精度が求められる複雑な部品も製作可能です。
多能工エンジニアの存在が鍵
ここで少し、私たちの現場についてお話しさせてください。
榊原工機の強みは、最新の設備だけではありません。それを使いこなす「考えて動く多能工のエンジニア」の存在が、何より重要なのです。
多能工とは、複数の加工技術を身につけた技術者のこと。旋盤もマシニングもワイヤーカットも扱える、いわば「何でも屋」です。ただし、ここでいう「何でも屋」は、ただ機械を動かせるだけの作業者ではありません。
お客様からの依頼に対して、常に最適な加工方法を考え、工程を組み立て、問題を解決していく。そんなクリエイティブな思考ができるエンジニアたちです。
頭を高速回転させて最適解を導く
例えば、ある日お客様から特急案件の依頼が入ったとします。
「明後日までに、この部品を3個作ってほしい」
このとき、私たちのエンジニアは瞬時に頭をフル回転させます。まるで旋盤が高速で回転するように、様々な要素を組み合わせて最適な工程を組み立てていくのです。
まず考えるのは材料選定。角材から削るべきか、丸材から削るべきか。次に機械の選定です。5軸加工機や複合加工機なら穴加工まで一台で完結できますが、もし両方とも他の仕事で稼働中だったら? すぐに動けるマシニングと旋盤を組み合わせて工程を組む必要があります。
加工順序の最適化、固定治具の選定、プログラムの作成。これらすべてを、納期と品質を両立させながら組み立てていく。この思考プロセスこそが、私たちが「クリエイティブなものづくり」と呼ぶものです。
お客様のご依頼にいつもベストパフォーマンスで応えるために、私たちは日々創意工夫を重ねています。
バリエーション豊かな設備群が実現する柔軟な対応力
5軸加工機から複合加工機まで
柔軟な小ロット生産を実現しているもう一つの要素が、「バリエーション豊かな設備群」です。
5軸加工機は、その名の通り5つの軸を同時に制御できる高度な工作機械。複雑な形状や曲面を高精度で加工できるため、試作品や精密部品の製作に威力を発揮します。
複合加工機は、旋盤加工とマシニング加工を一台でこなせる優れもの。部品を付け替えることなく複数の加工を連続して行えるため、精度を保ちながら効率的に作業を進められます。
ワイヤーカットは、電極となる細いワイヤーで金属を精密に切断する加工法。放電加工の一種で、硬い材料でも変形させることなく、複雑な形状を高精度で切り出せます。金型部品や精密治具の製作には欠かせない技術です。
設備だけでは意味がない、使いこなしてこそ
ここで強調しておきたいのは、「設備を持っているだけでは意味がない」ということです。
最新の機械を導入しても、それを使いこなせる技術と経験がなければ、宝の持ち腐れになってしまいます。私たちは、これらの設備を最大限に活用し、お客様の多様なニーズに応えられるよう、日々技術を磨いています。
例えば、同じ部品を作るにしても、材質や数量、納期によって最適な加工方法は変わります。アルミニウムなら削りやすいですが、ステンレスは硬くて粘りがあるため加工条件を変える必要があります。1個だけなら汎用機で手作業の方が早いこともあれば、10個以上ならNC機械でプログラムを組んだ方が効率的な場合もあります。
こうした判断を瞬時に行い、最適な工程を組み立てられるのが、多能工エンジニアの強みなのです。
「駆け込み寺」として:お客様から信頼される理由
困ったときの榊原工機
お客様から「機械部品加工の駆け込み寺的存在」と評価していただくことがあります。これは、私たちにとって最高の褒め言葉です。
加工に困った。納期に困った。どこに頼んでいいか分からない。そんなとき、私たちを思い出していただける。それは、これまで積み重ねてきた信頼の証だと思っています。
「いろいろ相談するよりも榊原工機1社で解決できることが多い」というお声をいただくこともあります。これは、旋盤、マシニング、ワイヤー加工など、多岐にわたる技術を社内で完結できる体制があるからこそ実現できることです。
複数の業者に分散して発注すると、それぞれとのやり取りや納期調整が大変です。でも、一社で完結できれば、お客様の手間も時間も大幅に削減できます。
月刊「機械技術」掲載と自社製品開発
2024年4月、私たちの技術力が評価され、月刊「機械技術」5月特別増大号に掲載していただきました。業界の専門誌に取り上げられたことは、技術者として大きな励みになりました。
また、私たちは受託加工だけでなく、自社製品「SAKAKI Gear」の開発も行っています。中でも、高級ゴルフパター「SAKAKI PUTTER」は、5軸加工技術の粋を集めた製品です。
ステンレスや真鍮を削り出して作られたこのパターは、素材の持つ特性を最大限に引き出しています。自社製品の開発を通じて得た知見は、お客様への提案力や加工品質へのこだわりをさらに深めることにつながっています。
お客様の製品を作るだけでなく、自分たちも「作り手」として製品開発に挑戦する。この経験があるからこそ、お客様の想いに寄り添ったものづくりができるのだと考えています。
お急ぎの案件には電話でのご相談がおすすめです
迅速な対応のために
ここで、お客様により良いサービスを提供するための「ちょっとしたコツ」をお伝えします。
もしも、お急ぎの案件でご相談される場合は、メールよりも電話でのご連絡をおすすめします。実は、弊社の社長はお話し好きでして、直接お電話でご事情を説明いただいた方が、スピーディーに対応できることが多いのです。
メールでのやり取りももちろん大切にしていますが、特急案件の場合は、リアルタイムでのコミュニケーションが問題解決への近道になります。お客様の「困った」を少しでも早く解決するために、お気軽にお電話ください。
電話番号は 0568-36-1628 です。受付時間は9:00から17:00まで(12:00~13:00を除く)で、土日祝日はお休みをいただいています。
試作開発をスムーズに進めるために
試作開発や小ロット生産のご依頼をスムーズに進めるために、いくつかの情報を事前に整理していただけると助かります。
まず、材質について。金属なのか樹脂なのか、金属ならステンレス、真鍮、アルミニウムなど、具体的な材質が分かると最適な加工方法を提案しやすくなります。
次に、必要な加工技術。旋盤加工、マシニング加工、ワイヤーカット、5軸加工など、特定の加工方法が必要かどうか。もちろん、よく分からない場合は「こういう形状にしたい」とお伝えいただければ、私たちの方で最適な方法を提案いたします。
精度や仕上がりの要求レベル。どの程度の精度が必要なのか、表面の仕上がりはどうするのか。こういった情報があると、見積もりも正確に出せます。
そして、用途。治具として使うのか、最終製品の一部なのか、試作品なのか。用途が分かると、必要な強度や精度、表面処理の種類なども適切にご提案できます。
アルマイト加工、ローレット加工、ザグリ加工、リーマ加工といった特殊な後処理が必要な場合も、遠慮なくお伝えください。
ガレージブランド・個人クリエイターの皆様へ
小さなアイデアを形にするお手伝い
近年、ガレージブランドや個人ブランドで活動されるクリエイターの方が増えています。私たちは、そうした皆様の「こんなもの作りたい」というアイデアを形にするお手伝いもしています。
大量生産を前提とした大手メーカーでは対応が難しい、少量・試作の案件。「たった10個だけ作りたい」「まずは1個試作してみたい」という要望にも、柔軟に対応いたします。
特に、手のひらサイズの小物部品は私たちの得意分野。アクセサリーの金具、カスタムパーツ、オリジナル製品の機構部品など、精密な加工が必要な小さな部品こそ、榊原工機にお任せください。
一緒にアイデアを実現する
個人のクリエイターの方の中には、「図面が描けない」という方もいらっしゃいます。でも、大丈夫です。
「こういう形にしたい」「こんな機能が欲しい」というイメージを共有していただければ、私たちの方で加工可能な形に落とし込むお手伝いもしています。
ものづくりは、一人で完結するものではありません。アイデアを持つ人と、それを形にする技術を持つ人が協力してこそ、素晴らしい製品が生まれます。
私たちは単なる加工業者ではなく、お客様のものづくりのパートナーでありたいと考えています。「こんなこと相談してもいいのかな」と思うようなことでも、まずは気軽にご相談ください。
榊原工機へのアクセスと基本情報
春日井市でお待ちしています
私たち有限会社榊原工機は、愛知県春日井市に拠点を置いています。
所在地は、〒486-0932 愛知県春日井市松河戸町2-5-15 です。
名古屋市からもアクセスしやすい立地で、愛知県内はもちろん、岐阜県や三重県など近隣県のお客様からもご依頼をいただいています。
初めてご来社される際は、「工場っぽくない」外観に戸惑われるかもしれませんが、階段下のピンポンを押していただければ、2階の事務所スペースへご案内いたします。
もちろん、図面やデータをメールでお送りいただき、見積もりだけ先に出すことも可能です。遠方のお客様でも、まったく問題ありません。
営業時間について
営業時間は、9:00から17:00まで(お昼休憩12:00~13:00を除く)です。土曜日、日曜日、祝日はお休みをいただいています。
お急ぎの案件、特急対応が必要な場合は、まずはお電話でご相談ください。状況によっては、通常よりも短納期での対応も可能な場合があります。
最後に:これからも「あたたかい町工場」であり続けるために
私たち榊原工機が目指しているのは、技術力の高さだけではありません。
もちろん、5軸加工機、複合加工機、ワイヤーカットといった最新設備を駆使した高精度加工は、私たちの誇りです。多能工のエンジニアたちが、日々クリエイティブに問題を解決していく姿勢も、変わることはありません。
でも、それと同じくらい大切にしているのが、お客様との距離の近さ、相談しやすい雰囲気、そして「人間味」です。
木のぬくもりを感じる事務所空間、時には黒猫のノア君がお出迎えするアットホームな雰囲気。こういった「あたたかさ」は、単なる演出ではありません。
お客様と一緒に悩み、一緒に考え、一緒にものづくりの喜びを分かち合いたい。そんな想いの表れなのです。
「機械部品加工の駆け込み寺」として、これからも皆様のものづくりをサポートしていきます。加工に困った、納期に困った、どこに相談していいか分からない。そんなときは、ぜひ榊原工機を思い出してください。
手のひらサイズの小物部品から、複雑な試作開発まで。少量1個からでも、真心込めて対応いたします。
お客様のベストパフォーマンスを実現するために、私たちはこれからも頭を高速回転させ、クリエイティブなものづくりを追求していきます。
春日井市の「工場に見えない町工場」で、皆様のご相談をお待ちしています。
                                            
                                                        

