治具制作:位置決め治具の公差精度を確保するためのポイントとよくある質問

2026年1月24日
#ブログ
有限会社榊原工機|小物部品の少量~中量生産に特化|ガレージブランド・個人ブランド”の試作開発も

位置決め治具の治具制作で、要求される公差精度を安定して実現するための設計上のポイントと、よくある質問を解説。

位置決め治具の治具制作で公差精度を安定させるには、「どこを基準に、どの部分に、どの程度の精度を掛けるか」を最初に整理することが最も重要です。
そのうえで、相手ワークの公差の「3分の1公差」を目安に治具側の精度を設計し、製造現場の作業性とコストのバランスを取ることで、現実的かつ再現性の高い位置決め治具が実現できます。

この記事のポイント

**今日の要点3つ**

– 位置決め治具の公差精度は「相手物公差の3分の1」を目安に設計するのが実務的な起点です。
– 3-2-1の位置決め原理や位置決めピンのはめあい公差を整理すると、設計段階でのムダな高精度指定を減らせます。
– 図面・3Dデータ・公差条件を事前に共有し、FAQレベルの疑問を早期に潰すことで、治具制作のコストと納期を最適化できます。

この記事の結論

– 位置決め治具の公差は「ワーク要求精度からの逆算」と「作業性」の両方で決めるべきです。
– 全面に高精度を掛けず、「基準面・基準穴・クランプ部」に精度を集中させるとコストが下がります。
– 3-2-1の位置決め原理と位置決めピンの丸ピン・ダイヤピンの使い分けが、再現性確保の基本となります。
– はめあい公差は「穴基準」で設定し、すき間ばめ・しまりばめを用途で使い分けるのが実務的です。
– 発注前に図面・3Dデータ・公差条件・検査方法を整理して相談することで、短納期かつ安定した治具制作が可能になります。

位置決め治具の公差精度とは何か?

一言で言うと、位置決め治具の公差精度とは「ワークを毎回同じ位置に再現するための、許容できるズレの範囲」です。
治具制作では、ワーク側の要求寸法公差より十分に小さい公差を治具側に設定することで、加工や検査のばらつきを吸収します。

– 榊原工機では、相手物(ワーク)の要求公差のおおよそ「3分の1公差」を目安に、治具の位置決め精度を設計する方針を採用しています。
– 例えばワークの位置決め精度が±0.03mmなら、治具側の基準面・基準穴は±0.01mmクラスを狙う、といった考え方です。

また、位置決め治具と一口に言っても、溶接治具、加工治具、検査治具など用途により必要な精度や経年変化の考え方が変わります。
溶接治具では溶接熱による歪みを前提に補正加工を組み込み、検査治具では繰り返し測定の安定性を重視するなど、設計思想も合わせて整理することが重要です。

位置決め治具の設計で外せないポイント

3-2-1の位置決め原理を前提にする

結論として、位置決め治具の設計は「3-2-1の位置決め原理」を前提に組み立てることが基本です。
3-2-1とは、1つのワークを6自由度すべて拘束するための、3面・6点支持の考え方です。

– 底面Z方向:3点支持で上下方向+2軸の回転を抑える
– 側面X方向:2点支持でY方向の動きと1軸回転を抑える
– もう一方の側面Y方向:1点支持でX方向の動きを抑える

この原理を意識せずに当て板やピンを追加していくと、ワークが過拘束となり、組付けが固くなったり、現場で「入らない治具」になったりするリスクが高まります。
早い段階で「どの面・どの点」を基準にするかを決め、公差を集中させることが重要です。

位置決めピンとはめあい公差を整理する

一言で言うと、位置決めピンのはめあい公差は「精度と作業性のバランスを決める鍵」です。
公差がきつすぎるとワークが入らず、緩すぎると位置決めが曖昧になるため、用途に応じた設計が欠かせません。

– 一般的には、穴側をH7、ピン側をg6などに設定するすき間ばめが多く採用されます。
– 2本ピンを使う場合は、1本を丸ピン(位置決め基準)、もう1本をダイヤピン(片側のみ拘束)として、温度変化や加工誤差を吸収するのが基本です。

榊原工機でも、ワーク穴の公差やワーク装着の頻度(1日数回なのか、数百回なのか)をヒアリングしたうえで、ピン径・テーパ形状・面取り量などを具体的に提案しています。
「作業者が片手で軽く載せても自然に位置が決まる」レベルを狙うことが、現場での使いやすさに直結します。

全面高精度ではなく「精度のかけどころ」を決める

最も大事なのは、「必要な場所だけを高精度にする」という考え方です。
治具全体を一律に±0.01mmで指定すると、加工コスト・検査コストが跳ね上がり、納期も長くなります。

– 基準面(Z平面)、基準穴(位置決めピン部)、クランプ位置など「ワーク位置に効く」部分にだけ厳しい公差をかける
– 持ち手や補強リブ、カバー部などは、板厚公差レベルの緩い指定でコストを抑える

このメリハリ設計により、同じ位置決め精度を保ちつつ、治具本体の加工費を30〜40%程度抑えられるケースもあります。
1個から制作する試作治具では、特にこの思想が効果を発揮します。

位置決め治具で公差精度を安定させるステップ

設計〜発注までの6ステップ

一言で言うと、「先に仕様と基準を決め切る」ことが、位置決め治具の公差精度を安定させる最短ルートです。
ここでは、榊原工機が位置決め治具のご相談を受けた際の標準的な進め方を、6ステップで整理します。

1. ワークの図面・3Dデータ・要求精度を整理する
2. 加工・検査・溶接など「治具を使う工程」を明確にする
3. 基準面・基準穴・クランプ位置など、3-2-1原理に沿って固定コンセプトを決める
4. 相手物公差から逆算して、基準部位の公差レベル(例:±0.01mm、±0.02mm)を設定する
5. 使用頻度・作業者スキル・交換時間などから、位置決めピンのはめあい公差と形状を選定する
6. 検査方法(どこを、どの測定器で確認するか)まで含めて見積・納期を擦り合わせる

この手順を踏むことで、後から「ここも±0.01mmが必要だった」「検査ができない形状だった」という手戻りを防ぎやすくなります。
榊原工機では、図面がない案件でもスケッチや現物支給から仕様をすり合わせていくケースが増えています。

材料選定と複合加工で精度を支える

結論として、公差精度を安定させるには「設計」と同じくらい「材料と加工プロセス」が重要です。
位置決め治具では、ベースプレートに炭素鋼や工具鋼、接触部に焼入れピンや超硬ピンを使うなど、材質の組み合わせがよく用いられます。

– 小物部品の治具制作では、金属と樹脂(MCナイロンなど)を組み合わせることで、ワークのキズ防止と軽量化を両立させる設計も有効です。
– マシニングセンタと複合加工機を組み合わせた工程集約により、位置基準を変えずに複数面を一気に加工することで、0.01mmクラスの位置決め精度を出すことも可能です。

榊原工機では、治具本体の加工とあわせて、位置決めピンや特殊クランプ部品の製作も一括対応することで、組付け精度と納期の双方をコントロールしています。
結果として、量産ラインの設備立ち上げや検査工程の短納期案件にも対応しやすくなります。

よくある質問(FAQ)

**Q1. 位置決め治具の公差精度はどの程度を目安にすべきですか?**

A. 結論として、ワークの要求寸法公差の「3分の1程度」を治具側の公差目安とするのが実務的です。

**Q2. すべての部位を±0.01mmで指定するのは問題ですか?**

A. 問題というより非効率で、基準部位以外まで高精度にすると加工コストと検査時間が大幅に増えます。

**Q3. 位置決めピンの穴公差とはめあいはどう決めればよいですか?**

A. 一般には穴をH7、ピンをg6などのすき間ばめにし、作業性と位置精度のバランスで決めます。

**Q4. 丸ピンとダイヤピンを使い分ける理由は何ですか?**

A. 丸ピンでX・Y方向を決め、ダイヤピンで片軸のみ拘束して温度変化や加工誤差を逃がすためです。

**Q5. 3-2-1の位置決め原理を守らないとどうなりますか?**

A. 過拘束となり、ワークが入りにくくなったり、現場での段取り時間が増えたりするリスクが高くなります。

**Q6. 図面がなくても位置決め治具を依頼できますか?**

A. スケッチや現物ワークがあれば、ヒアリングと併せて仕様を整理しながら設計・制作することが可能です。

**Q7. 試作段階の治具と量産ライン用治具では何が違いますか?**

A. 試作治具は柔軟な調整・改造性を重視し、量産用は耐久性と段取り時間の短さを優先して設計します。

**Q8. 溶接治具の位置決め公差はどのように考えるべきですか?**

A. 溶接歪みを前提に、溶接後の補正加工や反り取りまで含めたプロセスで、公差をトータル設計します。

**Q9. どの段階で治具メーカーに相談するのが良いですか?**

A. 結論として、ワーク図面と要求精度が固まり始めた段階でご相談いただくと、工程集約やコスト最適化の提案がしやすくなります。

**Q10. 位置決め治具の寿命やメンテナンスはどう考えればよいですか?**

A. 接触部は焼入れ材や交換可能なピン構造にしておき、摩耗時に最小限の部品交換で精度を維持する設計がおすすめです。

まとめ

– 位置決め治具の公差精度は、ワーク要求公差の「3分の1」を目安にしつつ、基準部位に精度を集中させることが重要です。
– 3-2-1の位置決め原理と、丸ピン・ダイヤピンの使い分け、はめあい公差の考え方を押さえることで、精度と作業性の両立が可能になります。
– 図面・3Dデータ・公差条件・検査方法を事前に整理し、早い段階でご相談いただくことで、短納期かつコストを抑えた治具制作が実現しやすくなります。

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