スローアウェーチップって知ってますか?

こんにちは。
今回は「スローアウェーチップ」について、現場の実体験を交えてお話しします。
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スローアウェーチップって知ってますか?
「スローしてアウェー(あっちに捨てる)」という言葉通り、使い終わったら“ホカる(捨てる)”タイプの刃物チップ。
使い捨て刃物
SDGsとは真逆なイメージがあるかもしれませんが、実はこのスローアウェーチップのおかげでNC旋盤の生産性が飛躍的に向上したんです。
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ロー付けバイトからの進化
昔は「ロー付けバイト」と呼ばれる、ホルダーとチップが一体型の工具を使っていました。
切れ味が悪くなったら、グラインダーで研いで再利用。まさに一生モノの道具。1本1000円~2000円程度で、何十回も再使用していました。
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スローアウェーチップのメリット
それが、スローアウェーチップの普及で一変。
チップがダメになったら、すぐ交換 → 寸法も狂いにくい → 作業再開もスピーディー。
特にNC旋盤では、誤差が0.0何mm程度で収まるため、再調整が最小限。
作業効率の面では圧倒的に優れています。
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でも、コストはどうか?
たとえば、仕上げ用チップで1枚500円。
両面6コーナー使えるとしても、1コーナー約100円。
これなら「安い」と感じる方も多いでしょう。
でも…
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実際はチップ代だけで月10万〜20万円!?
たとえば溝入れバイトなどは、1個3000円以上するものも。
榊原工機では、NC旋盤が4台稼働していて、チップ代だけで月10〜20万円かかっています。
もちろん、生産性が上がるからチップ代が増えるのは当たり前。
でも問題なのは、「本当に交換が必要だったのか?」という“コスト意識”の部分です。
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そこで提案:再研磨で第2の人生を
NCで使えなくなったチップやバイト。
それを汎用旋盤に持っていって、グラインダーで研いで再利用する。
簡単な加工や手直しにはまだまだ使えます。
チップは「ホカる」前に「研ぐ」。
少しでも使える可能性があるなら、再利用の視点も取り入れてみてはいかがでしょうか?
ホカるって名古屋弁?笑
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まとめ
スローアウェーチップは素晴らしい発明であり、生産性向上には欠かせない存在です。
ただ、現場では“便利さ”の裏で「見えにくくなっているコスト」も確かに存在します。
だからこそ、使い切った工具に“次の活躍の場”を用意する。
そんなちょっとした工夫が、工場全体のコストダウンにもつながるのではないでしょうか。
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