ロー付けバイトとスローアウェイ
今日は汎用旋盤で使う刃物のお話をしたいと思います。
今の旋盤加工は、スローアウェイといって使い捨てのチップを使うのが主流になっています。切れなくなったらチップを交換して、ポイッと捨てる。便利な時代です。
でも昔は違いました。「昔は」というキーワード、最近このブログでよく出てきますね(笑)。今もやっている会社さんがあるので、正確には「スローアウェイに取って代わられる前は」という意味で聞いてください。
昔は、鉄の台の上に超硬のチップをロー付けした「ロー付けバイト」というものがありました。これ、実は今でも売っています。
このロー付けバイトを、グラインダーで自分なりに「整形」する。つまり、自分で削りやすい形状に刃物を削って作り、それで旋盤を回す。そういう時代だったんです。今のように外径用チップ、内径用チップなんて便利なものはありませんから、全部自分で形を作っていました。
だから、そこで職人の腕の良し悪しが決まったわけです。
そして今は、切れなくなった刃物をどんどん捨てていきますが、ロー付けバイトは切れなくなったらグラインダーで研ぎ直して、また使う。大変エコな時代ですよね。超硬がいくら値上がりしても関係ない。極端な言い方をすれば、買った一本のバイトを、壊さない限り一生使う。それぐらいの感覚で使っていたんです。
つまり昔は、刃物──切削工具というのが「財産」だったわけです。
私の先輩たちの時代なんて、工具の棚に鍵をかけて帰るのが当たり前でした。もっと昔になると、自分の工具箱に刃物を入れて、いろんな会社を渡り歩く旋盤職人たちがいた、という話も聞いています。それだけ刃物が貴重な道具とされていた時代なんですね。
そこにスローアウェイという大変便利な刃物が登場して、ロー付けバイトの出番はどんどん減っていきました。
ただ、ここで間違えてほしくないのは、ロー付けバイトの必要性がゼロになったわけではない、ということです。今でも数パーセント、「ここぞ」という時にロー付けバイトがあると便利な場面があります。
だから私はいつも言っているんです。「汎用旋盤も触れるNC旋盤の職人になりましょう」と。
ということで今日は、ロー付けバイトとスローアウェイバイトの違い、その変遷についてのお話でした。