高周波焼入れ
今日は高周波焼入れの話をします。
高周波焼入れというのは、名前の通り高周波の電気の力で焼きを入れる熱処理です。仕組みを簡単に言うと、コイル状にした銅管に高周波の電流を流し、そのコイルの中(あるいはそば)に製品を置くと、電磁誘導で製品の表面だけが一気に加熱される。IHクッキングヒーターと同じ原理ですね。そして真っ赤になったところをすぐに冷やして焼きを入れる。コイルが当たっている部分だけ、しかも表面だけを硬くできるのが特徴です。
(写真は焼入れ前の素材の状態です)
(こちらが高周波を入れた状態。中央のコイルが当たった部分だけ、焼き色が入っているのが分かります)
どんなメリットがあるかというと、「一部分だけ」焼きを入れられること。全体に焼きが入ると割れるリスクがある製品や、一部分だけ硬くしたい製品にぴったりなんです。硬さで言えば、おおよそHRC50〜60。これは材質の炭素量で決まっていて、たとえばS45CならHRC54〜60、S55CならHRC60〜63といった具合です。このあたりの焼きの入れ方の上手い下手は、高周波焼入れ屋さんの腕によるところが大きいですね。
さて、「硬ければ何でもいい」というイメージを持ちがちなんですけれど、そうではありません。ガラスをイメージしてもらうと分かりますが、硬すぎると落としたときにパリンと割れてしまう。逆にHRCが低すぎると、今度は力が加わったときに凹んだり曲がったりしてしまう。
そのバランスを考えて、設計者がHRCの値を決めて図面に書く、という流れです。我々はそれに従って高周波焼入れ屋さんに持っていき、焼きを入れてもらう。その後は研磨をしたり、ワイヤーカットで加工したり、焼入れ鋼用の刃物で仕上げたりと、いろいろな工程が続いていきます。
以上、高周波焼入れの話でした。