今日は「名もなきランタン 暁(あかつき)」の話をします。
暁というのは明け方のこと。これから一日が始まる、という意味の名前です。
前回お話しした「始まり」が、うちが一番初めに作ったランタンだとすれば、この暁は、SAKAKI GEARというブランドが世に出た最初の製品になります。2024年、クラウドファンディングで1,150万円ものご支援をいただきました。榊原工機という町工場が、自分たちのブランドを世に問うた、その最初の一歩がこれです。
大きさは手のひらに乗るくらい。写真のとおりです。
製品としての位置づけは、前回の「始まり」と同じです。Goal ZeroのLEDライトを、ランタンのように見せるカスタムパーツ。
ただ、これを真鍮の削り出しで作った、というところにこの機種の意味があります。
写真は部品とライトを量りに乗せたところですが、手のひらサイズで521g。持つとずしりときます。この重さが、そのまま真鍮の削り出しということです。
そしてもうひとつ。装着したままでも、天面のキャップから点灯や調光の操作ができるようにしました。この構造は特許出願中です。カバーを被せると操作できなくなる、というのでは道具として使えませんから。
この暁を作ったことで、思いがけないことが起きました。
照明器具のメーカーさんや、照明機器を作っているブランドさんから、真鍮の製作依頼が来るようになったんです。
デザイナーさんというのは、絵は描けるけれど、物は作れない。逆にうちは、デザインは下手くそだけれど、物は作れる。そういう関係なんですね。
ただ今回は、その「物を作れる人間」が、デザインのほうにまで踏み込んで作った。そこにすごく意味があったと思っています。図面をもらって削るのではなく、形から自分たちで決めた。だから照明の世界の人たちが、うちを見つけてくれた。
暁は、私の中で一番、世に出るきっかけになった作品です。だから思い入れがあります。