黒色無電解ニッケルという選択
黒色無電解ニッケルめっき、ご存じでしょうか。
今回、SAKAKI GEARのランタンに、真鍮へこのめっきをかけました。今日はその話をしたいと思います。
なぜ黒くなるのか
めっきで黒を出すのは、実はそれほど簡単な話ではありません。塗装で黒くする方法もありますが、それとは仕組みが違います。無電解ニッケルめっきは、皮膜そのものの状態によって光の反射がほとんどなくなり、黒く見えるようになります。
複雑な形の品物でも、均一な厚さでめっきが付くのが特徴です。凹んだところも、内側も、同じように仕上がります。だからこそ工業の世界では、寸法精度が要る部品や、光の映り込みを嫌う部品に長く使われてきました。
なぜ塗装ではないのか
黒くするだけなら、塗装という手もあります。ただ、塗装は塗膜が乗っているだけなので、どうしても剥がれます。角が当たれば欠けるし、擦れば削れる。
めっきは素材そのものの表面に皮膜をつくるので、はるかに剥がれにくい。キャンプギアのように持ち歩いて、ぶつけて、熱が入るものには、こちらのほうが向いていると考えました。
艶ありと、艶なし
今回は、艶ありと艶なしの2種類を用意しました。
艶なしのほうは、めっきの前にサンドブラストという処理をかけています。表面に細かい凹凸ができるため、光が一方向に反射せず拡散する。その状態でめっきをかけると、映り込みのない、落ち着いた黒になります。
同じ黒でも、まったく表情が違います。艶ありはキリッとした黒、艶なしはしっとりとした黒。並べて見ると、これは迷うだろうなと思いました。
実はこの2つは、当初どちらか一方で出すつもりでした。試しに作ってみたら、もう一方のほうが良く見えてしまった。それで急遽、選択制に変えたという経緯です。
この2種類を、次回のクラウドファンディングに出します。
開発をお手伝いします
こういう開発の話が、私は面白くて仕方ありません。
うちは町工場ですから、普段はいただいた図面のとおりに、きちんと作るのが仕事です。それはそれで誇りを持ってやっています。
ただ、図面が固まる前の段階から関わる仕事には、また別の面白さがあります。材料をどうするか、後処理をどうするか、加工の順番をどうするか。その形状は本当に削り出せるのか。そこを一緒に考えるところから入れると、出来上がるものが変わってきます。
今回の黒色無電解ニッケルもそうでした。真鍮にこの処理をかけて、艶あり艶なしの二種類を出す。こういう判断は、加工と後処理の両方が分かっていないとできません。
部品加工の発注だけで完結する関係も、もちろんあります。でも、まだ形になっていない段階のものを、一緒に詰めていく仕事もお受けしています。
試作を繰り返したい。この形が作れるか相談したい。表面処理をどうするか迷っている。そういう法人のお客様、ぜひ一度お声がけください。
榊原工機のこれまでの経験が、お役に立てるかもしれません。
お問い合わせはこちらまで。 skk01@sakakibara-kouki.co.jp