メールと電話、どちらで問い合わせるべき?状況に応じた使い分けガイド

2025年10月26日
#ブログ
有限会社榊原工機|小物部品の少量~中量生産に特化|ガレージブランド・個人ブランド”の試作開発も

はじめに:問い合わせ方法が加工の成否を左右します

部品加工のご依頼をいただく際、お客様から「メールと電話、どちらで問い合わせたらいいですか?」というご質問をよくいただきます。

実は、この問い合わせ方法の選択が、プロジェクトの進行スピードや最終的な品質に大きく影響することをご存知でしょうか。特に手のひらサイズの小物部品や、少量・試作といった時間との戦いとなる案件では、最適な連絡手段を選ぶことが納期厳守の第一歩となります。

私たち有限会社榊原工機は、愛知県春日井市で「機械部品加工の駆け込み寺」として、お客様の「加工に困った」「納期に困った」という切実なお悩みを解決してまいりました。長年の現場経験から、お客様とのコミュニケーションを最適化することが、スムーズな発注と納期厳守につながると確信しています。

この記事では、当社が実践している「メールと電話の使い分け戦略」を詳しくご紹介します。どのような状況でどちらの手段を選ぶべきか、具体的なポイントを理解していただければ幸いです。

緊急時は迷わず電話を!当社がお勧めする理由

社長のお話し好きを活用してください

当社から発注担当者の皆様へ、最も強くお伝えしたいアドバイスがあります。それは「もしもお急ぎの場合は、メールで返信を待つより、電話して事情を説明することをお勧めします」ということです。

実は当社の社長はお話し好きなのです。この特性を活かしていただくことで、緊急案件を最短ルートで解決できるケースが非常に多いのです。

メールは確かに便利なツールですが、文章を作成して送信し、返信を待つという一連の流れには、どうしても時間がかかってしまいます。特に営業時間外や休日を挟む場合、数時間から場合によっては数日のタイムラグが生じることもあります。

一方、電話であれば、お客様の状況を即座に把握し、その場で解決策を検討することができます。納期が迫った特急案件では、この数時間の差が製品の完成を左右することもあるのです。

頭を旋盤のように高速回転させて解決策を導きます

当社では「お客様のご依頼にいつもベストパフォーマンスで応えるために、クリエイティブにものづくりをしています」という姿勢を大切にしています。

特急案件や複雑な試作開発のご依頼をいただいたとき、私たちエンジニアは常に頭を旋盤のように高速回転させて、ベストな加工法を考えています。

例えば、こんな思考プロセスを瞬時に行います。

「5軸加工機か複合加工機なら穴加工まで1台でできるけど、今日は2台とも埋まっている。特急案件だから、すぐ動けるマシニングと旋盤で工程を組もう」

「材料は角から削ろうか、丸から削ろうか。どちらが早く仕上がるだろう」

こうした高度な意思決定には、お客様からの正確な情報が不可欠です。電話での対話なら、案件の緊急性や背景事情、そして文字では伝わりにくい微妙なニュアンスまで、リアルタイムで正確に把握できます。

社長や担当者がお客様の切迫した状況を直接お聞きすることで、社内の設備群(5軸加工機、複合加工機、ワイヤーカットなど)の割り当てに関する判断を最速で下すことができるのです。

一社完結体制のメリットを最大限に

当社は旋盤、マシニング、ワイヤー加工を得意としており、「いろいろ相談するよりも榊原工機1社で解決できることが多い」という総合力が強みです。

電話でご相談いただければ、複雑な部品加工の全工程(材質の選定から加工ルート、外注の有無まで)を、その場で担当者と確認し、一社完結による迅速な対応をお約束できます。

これは納期遅延の原因となる工程間のロスを排除し、確実に納期を守ることにつながります。複数の業者に相談する手間も省けますので、発注担当者様の負担も大幅に軽減されます。

電話でご相談いただきたい具体的なケース

納期が極めてタイトな駆け込み案件

当社は「機械部品加工の駆け込み寺」として、納期に困ったお客様のサポートを得意としています。

納期に間に合わせるためには、メールに「お急ぎ」と書くだけでなく、「なぜ急ぎなのか」という具体的な事情を電話でご説明いただくことが非常に重要です。

私たちは過去の経験やトラブル事例に基づき、お客様の事情を深く理解することで、工程を組み替えるという創造的な解決策を提供できます。

例えば、ある日の午後に「明後日の朝一番で必要」というご依頼をいただいたケースがありました。通常なら難しい納期ですが、電話でお客様の事情を詳しくお聞きしたところ、展示会での使用が目的だとわかりました。

そこで当社は夜間作業も含めた特別な工程を組み、無事に納期に間に合わせることができました。これは電話で迅速にコミュニケーションを取れたからこそ実現できた事例です。

複雑な形状や特殊材質で加工に困ったとき

複雑な形状の部品や、焼入れ鋼への追加工のような特殊な加工が必要な場合も、電話でのご相談をお勧めします。

図面や3Dデータだけでは、加工のリスクや懸念点を完全に伝えきれないことがあります。電話なら、事前にメールで送っていただいた図面を見ながら、「この部分のRが特に難しく、干渉のリスクがある」といった専門的な話を直接議論できます。

当社の5軸加工技術の適用が最適かどうか、その場でご提案することも可能です。複雑な形状ほど、対話を通じて最適な加工法を見つけることが重要になります。

また、材質についても「この材質なら、こちらの加工法の方がコストを抑えられます」といったアドバイスを即座にお伝えできます。メールでは何往復もやり取りが必要な内容も、電話なら5分で解決することも珍しくありません。

見積もり内容について疑問があるとき

見積書をお受け取りになった後、内容について疑問点が生じた場合も、電話でのご確認が効果的です。

特に少量・試作における段取り費や、加工費の内訳について口頭で質問していただくことで、コストと品質のバランスを調整するための建設的な議論を迅速に行えます。

「なぜこの工程でこの金額になるのか」「もう少しコストを抑える方法はないか」といったご質問に、その場で丁寧にお答えします。場合によっては、加工方法を変更することでコストダウンできる可能性もご提案できます。

見積もりは単なる数字の羅列ではなく、加工のプロセス全体を表現したものです。電話で対話することで、その背景にある技術的な判断や工夫を理解していただけます。

メールが力を発揮する場面もあります

技術的な詳細情報と図面の送付

電話が緊急性で優れている一方、メールには「記録性」と「正確な情報伝達」という大きなメリットがあります。

見積もりや加工をご依頼いただく上での基盤となる情報は、必ずメールで正確にお送りいただく必要があります。

具体的には、図面、公差、要求される表面処理、材質(金属も樹脂も対応可能です)といった技術的な詳細情報です。これらは記録として残り、私たちが5軸加工機などのプログラムを作成する際の基礎情報となります。

メールであれば、技術的な誤解を防ぎ、品質認識のギャップを最小限に抑えることができます。後から「言った、言わない」のトラブルも防げますので、お互いに安心して作業を進められます。

また、試作段階で仕様変更が発生した場合、その変更内容や理由をメールで明確に記録しておくことをお勧めします。万が一トラブルが発生した際に、どの時点の仕様で加工が行われたかを確認できますので、責任の所在を明確にできます。

営業時間外のお問い合わせ

当社の受付時間は9時から17時まで(12時から13時を除く)で、休日は土・日・祝日です。

営業時間外にお問い合わせをいただく場合や、すぐに返信が必要ない一般的なご相談は、メールをご利用いただくのが最適です。私たちの業務を妨げることなく、しっかりと記録を残すことができます。

翌営業日に担当者がメールを確認し、丁寧に回答させていただきます。急ぎでない場合は、むしろメールの方が双方にとって効率的なケースも多いのです。

専門的な情報についてのお問い合わせ

当社が発信している技術情報やブログ記事の内容について、深く掘り下げた質問をされる際も、メールが適しています。

例えばワイヤーカット加工の基礎知識や、部品調達のポイントなど、専門的な内容について詳しく知りたい場合、メールで整理された文章でお送りいただければ、私たちも回答を準備しやすくなります。

図表や参考資料を添付してお返事することもできますので、より詳細で正確な情報をお届けできます。

最適な使い分け戦略:ケース別の判断基準

納期の切迫度と案件の複雑性から、メールと電話の使い分け方を整理してみましょう。

極めて緊急で複雑な案件の場合は、まず電話でご相談ください。その後、詳細をメールで追認していただくのが理想的です。社長のお話し好きな特性を活かし、旋盤のように高速回転する判断を即座に引き出すことで、納期リスクを回避できます。

技術的な難易度は高いものの納期に余裕がある場合は、先にメールで図面や3Dデータをお送りいただき、私たちが内容を精査する時間を確保してください。その後、電話で専門的な議論を行うことで、より精度の高い提案が可能になります。

初回の見積もりご依頼の場合は、メールで必要な情報(ロット数、材質、図面など)をお送りいただき、その後電話でコスト内訳などをご確認いただく流れがスムーズです。

一般的なご相談や情報収集の場合は、メールをご利用ください。営業時間外でも対応可能で、記録も残りますので便利です。

電話とメールを組み合わせた最強の方法

最高のパフォーマンスを得るためには、実は電話とメールの両方を上手に併用していただくことが一番効果的です。

まず電話で緊急性と意図を私たちに伝えてください。特急案件であることや、加工に困っている状況を説明していただければ、すぐに迅速な工程組み替えの検討を開始します。

その後、電話で合意した内容(公差の再確認、納期目標、使用する機械の提案など)と技術的な詳細情報(図面、3Dデータ)を、速やかにメールでお送りください。

これにより、お互いの認識を確実に記録として残すことができ、品質と納期の約束に対する信頼関係が確立されます。後から振り返る際にも、メールの記録があれば安心です。

電話で迅速にコミュニケーションを取り、メールで確実に記録を残す。この組み合わせが、納期厳守と高品質の実現につながります。

より良いコミュニケーションのためのヒント

過去の事例を参考にしてください

当社では、これまでに多くの加工案件に取り組んでまいりました。マシニング、旋盤、5軸加工機でのリアルなトラブル事例も蓄積しています。

電話でご相談いただく際、「この部品は過去のトラブル事例のようなリスクを抱えていないか」といった質問をしていただくことで、潜在的な納期リスクについて深く議論できます。

発注担当者様がある程度の専門知識をお持ちであると、私たちも「この方は本当に品質を求めている」と認識し、最善の努力を払う大きな動機となります。

当社のブログや技術情報をご覧いただき、基礎知識を身につけていただくことで、より建設的な対話が可能になります。

削り出し加工の意味を理解してください

削り出し加工は、金属の塊から不要な部分を削り取って部品を作る加工方法です。この方法は最高精度を実現できる加工技術として知られています。

お客様が「削り出しで高精度な部品が必要」と明確に伝えてくださることで、私たちは最適な機械と工具を選択し、最高の品質でお応えすることができます。

品質要求を明確にしていただくことは、納期を守りながら高品質を実現する上で非常に重要です。遠慮なく、求める品質レベルをお伝えください。

当社の雰囲気を感じてください

当社は「工場っぽくない外観が自慢」の、あたたかい町工場です。2階は木の温もりを感じる事務所になっており、リラックスして技術的な対話ができる環境を整えています。

電話での対話を通じて、単なる部品のスペックだけでなく、製品に込めた思いやアイデアもぜひお聞かせください。私たちは単なる作業者ではなく、お客様の成功を共に目指すパートナーでありたいと考えています。

お客様の熱意を感じることで、私たちも頭を旋盤のように高速回転させ、納期と品質の両立に向けた創造的な解決策を提案するモチベーションが高まります。

まとめ:最適なコミュニケーションが最良の結果を生みます

メールと電話の使い分けは、精密切削加工のプロフェッショナルである当社から最高のパフォーマンスを引き出し、納期厳守と高品質を実現するための重要な戦略です。

発注担当者の皆様には、以下の3つの原則を覚えていただければと思います。

第一に、緊急時、複雑な議論が必要な場合、特急案件の場合は迷わず電話をお選びください。

第二に、技術的な詳細情報、図面、仕様変更は必ずメールで記録を残してください。

第三に、電話で私たちの知恵と経験を引き出し、メールでその信頼性を保証してください。

この最適な使い分けにより、お客様の「加工に困った」という課題は、当社の専門性と経験によって、迅速かつ確実に「形になった」という成功体験へと変わります。

私たち有限会社榊原工機は、これからもお客様のご依頼にベストパフォーマンスで応えるため、クリエイティブにものづくりを続けてまいります。部品加工でお困りのことがございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。