多様な設備群と多能工エンジニアが生み出すシナジー効果:榊原工機のものづくり革命

2025年9月20日
#ブログ
有限会社榊原工機|小物部品の少量~中量生産に特化|ガレージブランド・個人ブランド”の試作開発も

現代の製造業界では、高性能な機械を導入するだけでは競争力を維持できません。真の差別化は、設備と人材がいかに連携するかにかかっています。

愛知県春日井市に拠点を構える榊原工機では、多様な加工設備と多能工エンジニアが織りなすシナジー効果により、小物部品の少量生産と試作開発において圧倒的な成果を上げています。

この記事では、なぜ榊原工機が「機械部品加工の駆け込み寺」として多くの企業に選ばれているのか、その秘密を詳しく解説していきます。

榊原工機が誇るクリエイティブなものづくり哲学

お客様にベストパフォーマンスを提供する思考プロセス

「なぜ榊原工機はクリエイティブなのですか?」

この質問に対して、私たちは明確に答えます。「お客様のご依頼にいつもベストパフォーマンスで応えるために、榊原工機はクリエイティブにものづくりをしています」

この言葉の背景には、単純な下請け加工業者とは一線を画す、深い思考プロセスがあります。

旋盤のような高速思考回路

例えば、ある部品の製作依頼を受けた際、私たちエンジニアの頭は旋盤が高速回転するようにフル稼働します。

まず材料選定の段階で「角から削ろうか、丸から削ろうか」と検討します。これは単純な選択に見えますが、実際には部品の形状、必要な強度、コスト、加工時間を総合的に判断する複雑なプロセスです。

次に機械選定です。「5軸加工機や複合加工機なら穴加工まで1台でできる。でも今日は2台とも埋まっている。特急案件だから、すぐ動けるマシニングと旋盤で工程を組もう」

このように、単に最新の機械を使うのではなく、その日の稼働状況、納期、部品の複雑性を考慮して最適な機械の組み合わせを瞬時に判断します。

加工戦略の立案

「では、どの順番で削るのがベストだろうか?固定治具は?プログラムは?」

加工歪みの抑制、工具摩耗の最小化、精度の確保、効率的なプログラミング。これらすべてを考慮し、最もスムーズで高品質な加工を実現するための「段取り」を緻密に設計します。

治具とは、加工時に部品を固定するための補助具のことです。プログラムとは、NC工作機械(数値制御工作機械)に動作を指示するコードのことを指します。

このクリエイティブなアプローチこそが、多様な設備と多能工エンジニアが一体となって最高のシナジーを生み出す基盤となっているのです。

考えて動く多能工エンジニアの実力

単なる機械操作者を超えた存在

榊原工機の「考えて動く多能工エンジニア」は、シナジー効果を生み出す上で不可欠な存在です。彼らは単なる機械の操作者ではなく、真の「ものづくりのプロフェッショナル」として多岐にわたる能力を持っています。

多能工とは、複数の工作機械を操作でき、様々な加工技術を習得した技術者のことです。一般的な工場では、旋盤専門、マシニング専門といったように分業化されていることが多いのですが、榊原工機では一人のエンジニアが複数の技術を身につけています。

プロセス設計能力と問題解決力

多能工エンジニアは、お客様から持ち込まれた図面やアイデアに対し、どのような工程で加工を進めるべきかを自ら設計します。

例えば、「焼入れ鋼に追加工が可能か?」という難しい課題に直面したとします。焼入れ鋼とは、熱処理により硬度を高めた鋼材のことで、非常に硬く加工が困難な材料です。

このような課題に対しても、エンジニアは過去の事例や最新の技術動向を基に、最適な切削条件や加工方法、あるいは代替手段まで含めて検討します。

実際の現場では、マシニングセンタで工具が折れたり、旋盤で寸法が出なかったり、5軸加工機でプログラムエラーが発生したりといったトラブルが日常的に起こります。しかし、豊富な経験を持つ多能工エンジニアなら、これらの問題に対して迅速かつ的確な解決策を見つけ出すことができます。

柔軟な対応力と幅広い知識

彼らの強みは、特定の機械に特化するのではなく、旋盤、マシニング、ワイヤー放電加工など、多様な加工技術を習得していることです。

旋盤とは、材料を回転させながら切削工具で削る機械です。マシニングセンタは、材料を固定して回転する工具で削る機械です。ワイヤー放電加工は、細いワイヤーと材料の間に放電を発生させて材料を切断する技術です。

この幅広いスキルセットが、多様な設備群を最大限に活用するための鍵となります。ある機械が稼働中でも、別の機械と組み合わせて工程を組み立てる柔軟性は、多能工であるからこそ可能になります。

また、金属だけでなく樹脂素材の加工にも対応できるなど、材質を問わない対応力も彼らの特徴です。プラスチックやエンジニアプラスチックなどの樹脂材料は、金属とは異なる切削特性を持つため、専用の知識と技術が必要になります。

バリエーション豊かな設備群の威力

最新鋭の加工技術による高精度加工

榊原工機の工場には、お客様の多様な要望に応えるための「バリエーション豊かな設備群」が揃っています。これらの設備が、多能工エンジニアの知恵と相まって、他に類を見ない柔軟なものづくりを実現しています。

まず、最新鋭の技術として5軸加工機があります。5軸加工機とは、従来の3軸(X軸、Y軸、Z軸)に加えて、2つの回転軸を持つ工作機械です。これにより、複雑な立体形状や多面加工を一度の段取りで高精度に仕上げることが可能になります。

例えば、航空機部品や医療機器部品のような複雑な曲面を持つ部品でも、従来なら何回も機械を替えて加工する必要があったものが、5軸加工機なら一回の段取りで完成させることができます。これにより、加工時間の大幅な短縮と品質の安定化を実現しています。

複合加工機も重要な設備の一つです。これは、旋削加工(材料を回転させて削る)とミーリング加工(工具を回転させて削る)を一台で行える機械です。従来なら旋盤で加工した後、別途マシニングセンタに移して穴あけや溝加工をする必要がありましたが、複合加工機なら工程を大幅に集約できます。

ワイヤー放電加工機は、硬度の高い材料や微細で複雑な形状の加工、あるいは熱による歪みを嫌う精密部品の加工に威力を発揮します。通常の切削加工では工具が入らないような狭い場所でも、細いワイヤーなら加工が可能です。

汎用性の高い加工能力

最新鋭の設備だけでなく、汎用性の高いマシニングセンタや旋盤も豊富に備えています。これにより、大小様々な部品、シンプルな形状から複雑な形状まで、あらゆる加工に対応できる体制を整えています。

特定の機械が埋まっている場合でも、他の機械を組み合わせて対応できる柔軟性は、設備が持つ汎用性があってこそ実現できるものです。

例えば、本来なら5軸加工機で一括加工したい部品があっても、納期が急ぎで5軸加工機が空いていない場合、マシニングセンタと旋盤を組み合わせて効率的に加工する方法を考案します。これは、各設備の特性を熟知した多能工エンジニアと、豊富な設備群があるからこそ可能な対応です。

この「バリエーション豊かな設備群」が、多能工エンジニアの「考えて動く」能力と融合することで、お客様の多種多様なニーズに対し、最適な「加工の引き出し」を提供できるのです。

多様性から生まれる具体的なシナジー効果

柔軟な小ロット生産の実現

多能工エンジニアと多様な設備群が一体となることで、榊原工機は以下のような具体的なシナジー効果をお客様に提供しています。

「榊原工機は少量・試作にトコトン強い会社です」。これは、多能工エンジニアが限られたリソースの中で最適な工程を組み立てる能力と、様々な加工に対応できる設備群が組み合わさることで実現しています。

ガレージブランドや個人のものづくり企業にとって、製品開発の初期段階での小ロット試作は非常に重要です。大手メーカーのように数千個、数万個の量産とは異なり、数個から数十個という少量生産では、効率性よりも柔軟性が求められます。

例えば、新しいアイデア商品の試作品を5個だけ作りたいという依頼があったとします。通常の量産型の工場では、セットアップコストが高くつき、採算が合わない案件として断られることが多いでしょう。しかし、榊原工機では多能工エンジニアが短時間で最適な加工方法を見つけ出し、適切な設備を選択して効率的に対応します。

最適な加工法の高速導出と実行

お客様からの依頼に対し、エンジニアは瞬時に「材料は…、機械は…、順番は…、治具は…、プログラムは…」と多角的に思考を巡らせ、ベストな加工法を導き出します。

この思考プロセスを具体的に説明すると、まず図面を見て部品の形状や要求精度を把握し、次に在庫している材料の中から最適なものを選択します。そして、現在の機械の稼働状況を確認し、納期を考慮して最も効率的な機械の組み合わせを決定します。

例えば、特急案件で通常なら5軸加工機を使いたい部品があっても、その機械が他の仕事で埋まっている場合、マシニングセンタと旋盤を組み合わせることで迅速に対応できます。これは、まさにこのシナジー効果の賜物です。

高精度・複雑部品加工への対応力

「手のひらサイズの部品を中心に、小物部品なら何でも加工OK」。そして「精密切削加工のプロ」として、旋盤、マシニング、ワイヤー加工が得意です。

5軸加工機やワイヤー放電加工機のような精密機械を、熟練の多能工エンジニアが使いこなすことで、ミクロン単位の精度が求められる部品や、複雑な内部構造を持つ部品など、難易度の高い加工も可能になります。

ミクロンとは1000分の1ミリメートルの単位で、髪の毛の太さが約100ミクロンですから、いかに精密な加工かがお分かりいただけるでしょう。

材質を問わず(金属も樹脂も)、様々な加工に対応できるのは、エンジニアの豊富な知識と設備の多様性が融合しているからです。ステンレス、アルミニウム、真鍮、チタンといった金属材料から、ABS樹脂、ポリカーボネート、POMといった樹脂材料まで、それぞれの特性に応じた最適な加工条件を見極めることができます。

圧倒的な問題解決能力

「加工に困った」「納期に困った」というお客様の声に対し、「いろいろ相談するよりも榊原工機1社で解決できることが多いです」。

これは、多能工エンジニアが持つ幅広い知識と経験、そして多様な設備群を駆使して、あらゆる課題に対して最適な解決策を提案できる能力があるからです。

例えば、他社で「この材料は加工できません」と断られた案件でも、榊原工機では別のアプローチを提案できることがよくあります。焼入れ鋼のような硬い材料でも、適切な工具選択と切削条件の設定により、問題なく加工することができます。

また、「図面通りに作ったら組み立てられない」という設計上の問題が発覚した場合でも、長年の経験を活かして改善提案を行い、実用的な製品に仕上げることができます。

まさに「機械部品加工の駆け込み寺的存在」として、お客様の困り事をワンストップで解決しています。

あたたかい町工場が育むクリエイティブな対話

工場らしくないアットホームな環境

榊原工機の「工場らしくない」「あたたかい町工場」という環境も、このシナジー効果をさらに高める触媒となっています。

工場はホームセンターとお風呂屋さんに挟まれた場所にあり、1階で金属加工を行い、2階には木の温もりを感じる事務所があります。階段下のピンポンを押して2階の事務所へお越しください。時には人懐っこい黒猫のノア君がお出迎えすることもあります。

このようなアットホームな雰囲気だからこそ、お客様は「まだ漠然としたアイデアだけど…」「こんなことできるかな?」といった相談でも、気軽に持ち込むことができます。

大手企業の工場では、セキュリティが厳しく、アポイントメントなしには入ることもできません。しかし、町工場である榊原工機では、お客様とエンジニアが直接対話し、その場で技術的な相談や見積もりの検討を行うことができます。

オープンなコミュニケーションが生む革新

多能工エンジニアたちは、お客様の熱い思いや細かなニュアンスをじっくりと聞き、その場で最適な加工方法や材料の提案を共に考えます。

例えば、「こんな形の部品を作りたいんですが、強度が心配で…」という相談があった場合、エンジニアは材料の特性から加工方法、さらには設計の改善提案まで総合的にアドバイスします。

「この部分をもう少し厚くすれば強度が上がりますよ」「この角度なら加工しやすく、コストも抑えられます」といった具体的な提案により、お客様のアイデアをより実用的で製造しやすい形に発展させることができます。

このオープンなコミュニケーションが、エンジニアのクリエイティブな思考を刺激し、多様な設備を最大限に活用した最適なソリューションへと繋がっていくのです。

お客様との信頼関係を築き、共に「ものづくり」の喜びを分かち合う。これが、私たちの「あたたかい町工場」が大切にしている価値観であり、多様な設備群と多能工エンジニアが真のシナジーを発揮するための不可欠な要素です。

自社ブランド開発への応用

このシナジー効果は、自社製品の開発にも活かされています。「5軸加工技術から生まれた高級ゴルフパター『SAKAKI PUTTER』開発ストーリー」は、まさにその象徴です。

多能工エンジニアが最新の5軸加工機を駆使し、ステンレスや真鍮を削り出すことで、高い精度と美しい仕上がりを持つオリジナル製品を生み出しました。

これは、私たち自身の技術力とクリエイティブな発想を証明するものであり、お客様のアイデアを実現するための「ものづくり」に対する深い理解を示すものでもあります。

自社製品の開発を通じて培った技術やノウハウは、お客様の製品開発にも確実にフィードバックされ、より高品質で革新的な製品の実現に貢献しています。

まとめ:あなたのアイデアを現実に変える力

榊原工機の多様な設備群と多能工エンジニアが織りなすシナジー効果について詳しく解説してきました。単に高性能な機械を揃えるだけではなく、それらを使いこなす人材の知恵と経験、そしてお客様との密なコミュニケーションが相まって、初めて真の価値が生まれることがお分かりいただけたでしょう。

ガレージブランドや個人ブランドの皆様の「こんなものを作りたい」という熱い思いは、私たちの技術力とクリエイティブな発想によって確実に現実のものとなります。

試作開発に関するご相談、お見積りのご依頼、あるいは「こんな特殊な加工はできる?」といった技術的なご質問まで、どのようなことでもお気軽にお問い合わせください。

お問い合わせ情報

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お急ぎの場合のワンポイントアドバイス お急ぎの場合は、メールで返信を待つよりも、直接お電話いただくことをお勧めします。当社の社長は「お話し好き」ですので、直接状況を説明していただくことで、より迅速に対応させていただくことが可能です。

所在地 〒486-0932 愛知県春日井市松河戸町2-5-15

榊原工機は、お客様の「ものづくり」の夢を現実にするため、技術と知恵を総動員し、全力でサポートいたします。多様な設備と多能工エンジニアが織りなすシナジー効果を、ぜひあなたの製品開発にご活用ください。