機械部品加工でお困りの方へ:榊原工機がお答えするよくある質問

2025年11月29日
#ブログ
有限会社榊原工機|小物部品の少量~中量生産に特化|ガレージブランド・個人ブランド”の試作開発も

はじめに:少量・試作の難題を解決する町工場

愛知県春日井市にある有限会社榊原工機は、手のひらサイズを中心とした小物部品の少量・試作加工を得意としています。私たちは「機械部品加工の駆け込み寺」として、お客様の加工課題を迅速に解決することを使命としています。

少量・試作の分野では、一つとして同じものがない難しい課題が日々持ち込まれます。そのため、私たちは常に創造的な加工方法を考え、お客様のご依頼に最高のパフォーマンスで応えることを心がけています。

この記事では、お客様や発注担当者様から特に多く寄せられる疑問について、私たちの経験と専門知識をもとに詳しく解説していきます。部品加工でお困りの際は、ぜひ参考にしていただければと思います。

どんな部品の加工が得意ですか?材質の制約はありますか?

手のひらサイズの小物部品なら、金属も樹脂も対応可能です

榊原工機の最大の強みは、手のひらサイズの部品加工、特に小物部品の少量・試作に特化している点です。私たちは「材質を問わず様々な加工に対応」できる精密切削加工の専門家として、長年の経験を積み重ねてきました。

金属から樹脂まで幅広く対応

金属加工では、ステンレスや真鍮といった一般的な材料はもちろん、加工が難しいとされる材質にも対応しています。また、エンジニアリングプラスチックなどの樹脂の切削加工も得意分野の一つです。

樹脂は低剛性で熱に弱く、金属は粘りや硬さが課題となります。しかし、当社の多能工のエンジニアはそれぞれの材質特性を熟知しており、最適な加工方法を選定できます。

三本柱の加工技術

私たちが特に得意としているのは、旋盤加工、マシニング加工、ワイヤーカット加工の三つです。

旋盤加工では円筒形状の部品を高精度に仕上げることができます。マシニング加工では複雑な立体形状にも対応可能です。そしてワイヤーカット加工機を使えば、焼入れ鋼への追加工といった難しい作業も実現できます。

この三つの技術を組み合わせることで、幅広いニーズに1社で解決できる能力を持っています。

試作開発の心強い味方として

私たちは、ガレージブランドや個人ブランドの試作開発も積極的に支援しています。小ロット・試作という不安定な段階での課題解決を専門としているため、お客様が「加工に困った」とき、材質やロット数で諦めることなく相談できる存在でありたいと考えています。

実際に、多くのお客様から「榊原工機なら何とかしてくれる」という信頼の言葉をいただいています。それは、私たちがどんな材質でも、どんな形状でも、創造的な加工方法で対応してきた実績があるからです。

最新設備があるのに、なぜ「多能工」が必要なのですか?

設備の能力を最大限に引き出すのは人の力

榊原工機は、5軸加工機や複合加工機といったバリエーション豊かな設備群を保有しています。これらの最新鋭の設備は、切削と旋削の加工方法を統合し、理想的な工程集約を実現します。

しかし、機械が高度になればなるほど、それを操る人間の判断力が重要になります。これが多能工のエンジニアが必要な理由です。

複合加工機と5軸加工機の使い分け

複合加工機は旋削と切削の統合による工程集約に優れています。一方、5軸加工機は工具を傾けて行う複雑な立体形状の削り出しと、高精度な多面加工に特化しています。

例えば、5軸加工機や複合加工機なら穴加工まで1台でできます。しかし、あいにく今日は2台とも埋まっているという状況もあります。そんなとき、多能工のエンジニアは瞬時に別の方法を考えます。

多能工の思考プロセス

私たちのエンジニアは、お客様の依頼に対して、常に創造的なシミュレーションを行っています。

「材料は角から削ろうか、丸から削ろうか」「今日使える機械は何だろう」「特急案件だから、すぐ動けるマシニングと旋盤で工程を組もう」「では、どの順番で削るのがベストだろうか」「固定治具はどうする?プログラムは?」

このように、頭を旋盤のように高速回転させてベストな加工方法を考えています。この柔軟かつ迅速な判断力こそが、当社の最高のパフォーマンスの源であり、多能工の真価なのです。

自社製品開発で培ったノウハウ

この多能工の創造的な能力は、5軸加工技術を駆使して削り出しで製作された高級ゴルフパター「SAKAKI PUTTER」の開発経験によって裏打ちされています。

自ら難題に挑み、そのトラブル事例を乗り越えた経験が、お客様の少量・試作への専門的な対応につながっています。実際の製品開発を通じて、理論だけでなく実践的なノウハウを蓄積してきたのです。

難しい材質の加工で高精度を維持する秘訣は何ですか?

ステンレスや焼入れ鋼の加工に対応

材質が硬い、あるいは特殊である場合、切削加工の難易度は跳ね上がります。特に小物部品では、そのデリケートさゆえに、高精度を保つための細心の注意が必要です。

ステンレス加工の難しさと対策

ステンレスは切削時に粘りが強く、工具にまとわりつきやすい特性があります。さらに熱伝導率が低いため、熱が手のひらサイズの部品に集中し、熱変形による加工精度の低下を招きます。

私たちは、加工硬化を避けるための切削条件の厳密な管理や、適切なクーラント供給を行っています。そして旋盤加工とマシニング加工の連携による熱管理で、高精度を実現しています。

ある製造会社様からステンレス製の小型部品の依頼があったときのことです。図面の精度要求が非常に厳しく、通常の加工方法では熱による変形が避けられませんでした。そこで、加工順序を工夫し、熱が分散するように複数の工程に分けることで、要求精度を満たすことができました。

焼入れ鋼への追加工の切り札

熱処理によって硬度が高まった焼入れ鋼への追加工は、一般的な切削や旋削では刃が立ちません。この課題に対して、当社はワイヤーカット加工機を切り札として活用します。

ワイヤーカット加工は非接触の加工方法であるため、材質の硬度に関わらず、高精度な加工が可能です。電気の力で材料を溶かしながら加工するため、硬い材料でも問題なく加工できるのです。

創造的な治具設計

多能工のエンジニアは、難しい材質の加工において、固定治具の設計に特に創造的な工夫を凝らします。

粘りの強い材質の切削抵抗に負けず、かつ熱による歪みを最小限に抑えながら、ワークを優しく強固に保持できる治具設計が、高精度を保つ秘訣です。

金属と樹脂ではそれぞれ異なる特性があるため、材質に応じた治具の設計が必要になります。私たちは長年の経験から、それぞれの材質に最適な治具を内製で作り上げています。

納期が急ぎの場合、対応してもらえますか?

特急案件にも柔軟に対応します

榊原工機は「機械部品加工の駆け込み寺」として、お客様の「納期に困った」という状況に対し、可能な限り最高のパフォーマンスで応える体制を整えています。

最短ルートの設計

多能工のエンジニアは、複合加工機や5軸加工機が空いていない状況であっても、旋盤やマシニングなど、すぐ動ける設備を組み合わせて最短の加工方法を瞬時に設計します。

例えば、通常なら複合加工機1台で完結する仕事でも、急ぎの場合は旋盤とマシニングに工程を分けて並行作業することで、納期を短縮できることがあります。

社長への直接相談がおすすめ

迅速な意思決定を最優先するため、お急ぎの場合は社長への直接相談をおすすめしています。

もしもお急ぎの場合は、社長はお話し好きなのでメールで返信を待つより、電話して事情を説明することをお勧めします。

技術の専門家同士が直接対話することで、材質、形状、加工精度といった制約条件を瞬時に共有できます。そして頭を旋盤のように高速回転させて創造的な解決策を導き出します。

実際に、金曜日の午後に連絡をいただき、月曜日の朝一番に納品したケースもあります。設備の空き状況と加工方法を即座に判断し、週末も稼働させることで実現しました。

迅速なコミュニケーションが鍵

特急案件では、お客様とのコミュニケーションが特に重要になります。図面の細部について疑問があれば、すぐに確認することで手戻りを防ぎます。

また、加工途中でも進捗状況をお伝えし、安心していただけるよう心がけています。

高精度な仕上げを保つための秘訣は何ですか?

仕上げ加工まで見据えた工程設計

小物部品の製造では、切削や旋削といった加工方法だけでなく、最終的な仕上げの高精度を追求するための加工方法が必要です。

穴の仕上げ技術

穴の寸法精度や真円度が厳しく要求される場合、マシニング加工後の仕上げとして、リーマ加工やホーニング加工を組み込みます。

特にホーニング加工は、穴の内面仕上げにおいて、真円度や面粗度を極限まで高め、油圧機器などに必要な機能性を付与します。砥石を使って穴の内面を磨き上げる技術で、非常に高い精度を実現できます。

表面の仕上げと表面処理

切削後の表面をさらに高精度に仕上げるために、研削加工が必要となることがあります。特に焼入れ鋼の歪み修正や、鏡面に近い仕上げが求められる場合に採用されます。

また、ブラスト加工は表面の意匠性を整えるだけでなく、ピーニング効果により部品の強度やサビ防止効果を高める表面処理としても活用されます。

アルミ部品のアルマイト加工など、表面処理の品質は、切削・旋削工程で確保された表面粗さに依存します。私たちはアルマイト加工後の機能性、つまり耐食性や硬度までを見越した加工方法を設計します。

治具による位置決め基準の徹底

高精度を保つ最大の秘訣は、切削加工のすべての工程において「位置決め」を徹底することです。

治具が不適切だと、ザグリ加工の同心度や、旋削からマシニングへの工程移行時の位置精度が狂います。

当社の多能工は、金属・樹脂それぞれの材質特性を考慮し、歪み防止と高精度な位置決めを両立する創造的な固定治具を設計し、内製しています。

例えば、薄肉の部品を加工する場合、固定の力が強すぎると変形してしまいます。かといって弱すぎると加工中にずれてしまいます。このバランスを取るために、専用の治具を設計することが多いのです。

榊原工機に少量・試作の部品加工を依頼するメリットは何ですか?

業界が認める技術力

榊原工機に部品加工を依頼するメリットは、単に「部品が削れる」ことにとどまりません。

当社の精密切削加工に関する知見は、外部の専門家にも認められています。2024年4月には、月刊「機械技術」2024年5月特別増大号に掲載されました。これは、当社の加工方法や高精度な技術が、業界内で高く評価されている証拠です。

現場の知見を公開

私たちは「プロに聞きました」シリーズや「今さら聞けない」シリーズを通じて、焼入れ鋼への追加工の実際の事情、マシニング・旋盤・5軸加工機の実際のトラブル事例など、現場の経験に基づいた貴重な知見を公開しています。

これらの情報は、お客様が部品加工を発注する際の参考になるだけでなく、私たちとのコミュニケーションをスムーズにする役割も果たしています。

品質認識のギャップを解消

「部品調達における品質認識のギャップ解消法」を実践し、お客様が求める高精度な仕上げや機能性について、事前に厳密なすり合わせを行います。

図面に書かれている寸法公差が、実際にどの程度の精度を意味するのか。仕上げ面粗度がどのような機能に影響するのか。こうした点について、お客様と丁寧に確認することで、認識のズレを防いでいます。

あたたかい町工場の環境

「工場っぽくない外観が自慢」であり、「木のぬくもりと緑にあふれたあたたかい町工場」です。

1階で金属を加工していますが、お客様を2階の木の温もりを感じる事務所へぜひどうぞお越しください。この開かれた環境は、技術的な課題や創造的な相談を気兼ねなく行える、心理的な安心感を提供しています。

実際に工場を見学していただくことで、どのような設備で、どのように加工しているのかを理解していただけます。これは図面だけのやり取りでは得られない、大きな安心感につながります。

1社完結による安心感

「いろいろ相談するよりも榊原工機1社で解決できることが多いです」という評価の通り、切削から表面処理、研削加工が必要な仕上げまで、複数の加工方法を多能工が一貫して管理することで、お客様の負担を大幅に軽減します。

複数の業者に発注する必要がないため、納期の管理も簡単です。また、万が一トラブルが発生した場合でも、窓口が一つなので対応がスムーズです。

まとめ:最高のパフォーマンスを生み出す創造的な思考

榊原工機は、手のひらサイズの小物部品製造において、「金属も樹脂も、材質を問わず」最高のパフォーマンスを提供することにコミットしています。

この能力は、最新のバリエーション豊かな設備群と、頭を旋盤のように高速回転させる多能工のエンジニアたちの創造的な思考プロセスによって支えられています。

私たちは、精密切削加工の専門家として、お客様の少量・試作における高精度、納期、材質の難題を、経験と知識に基づいた専門的な対応で1社で解決し続けます。

小物部品の部品加工でお困りの際は、機械部品加工の駆け込み寺である私たちに、ぜひご相談ください。お客様の課題を、創造的な加工方法で解決いたします。