試作品治具の治具制作において、工程集約設計を行う際の技術的なFAQと、大幅なコスト削減を可能にするプロの知恵
治具制作において試作品治具を工程集約設計する最大のポイントは、「必要な加工・検査工程を一つの治具にできるだけ集約しつつ、試作段階ならではの変更や検証のしやすさを両立させること」です。
その結果、段取り回数や治具点数を減らし、試作リードタイムとトータルコストの両方を削減できます。
この記事のポイント
- 試作品治具における工程集約設計の基本思想と、治具制作時に押さえるべき設計ステップを整理します。
- 工程集約による段取り削減・治具数削減・品質安定が、試作から少量量産立ち上げのコストにどのように効果を発揮するかを具体例で解説します。
- 有限会社榊原工機としての「手のひらサイズ小物部品×1~200個×短納期」の視点から、実務的なFAQと判断基準を提示します。
押さえるべき要点3つ
- 試作品治具の工程集約設計では、「どこまでを1治具で完結させるか」の線引きが最も重要です。
- コスト削減には、治具制作費だけでなく「段取り工数」「不良削減」「将来の流用性」まで含めた総コストで評価することが欠かせません。
- 小物・少量の試作案件では、機能を絞ったシンプルな治具×段取り簡略化が、結果として最速・最安になるケースが多くあります。
この記事の結論(即答サマリー)
- 試作品治具の工程集約設計は、「ポジショニング・クランプ・検査」を一連で回せるようにまとめることが基本です。
- 段取り替えと治具点数を減らすほど、試作から小ロット生産の総コストは下がりやすくなります。
- 試作段階では、あえて機能を最小限にしたシンプル治具から始め、評価結果を踏まえて改良・追加治具を検討するのが合理的です。
- コスト削減効果は「時間×人件費×生産数量」として定量評価し、治具制作費とのバランスで投資判断を行うべきです。
- 有限会社榊原工機では、1~200個の短納期試作・治具部品加工に特化した経験をもとに、工程集約設計とVA・VE提案をセットで支援しています。
治具制作と試作品治具の工程集約設計とは?
工程集約設計とは何か(結論)
結論として、工程集約設計とは「本来は複数工程・複数治具で行う加工や検査を、一つの治具・一回の段取りの中にまとめる設計手法」です。
これにより、段取り替え時間の削減・治具点数の削減・位置決め誤差の蓄積低減が同時に実現し、生産性と品質が両立しやすくなります。
試作品治具における意味合い
試作品治具では、量産用ほど作り込み過ぎず、「短期間で仕様確認や加工検証を行うための”評価プラットフォーム”」という位置付けが重要です。
一言で言うと、工程集約した試作品治具は、設計変更を織り込みながらも無駄な工程を減らすための実験用ベース治具と捉えるとわかりやすくなります。
榊原工機の得意な領域
有限会社榊原工機は、愛知県春日井市で「手のひらサイズの小物部品の少量~中量生産」と「治具・自動機部品の短納期加工」に特化した町工場です。
そのため、1~200個程度の試作・立ち上げ段階での工程集約治具や、既存設備を活かしたマシニング用・旋盤用の簡易治具の設計・製作に強みがあります。
試作品治具の制作プロセスと工程集約設計の考え方
試作品治具制作の基本ステップ
試作品治具の制作では、一般的に以下のようなステップで進めていきます。
- 要求仕様・試験条件の整理(寸法精度・位置精度・荷重条件・温度条件など)
- 対象ワークの形状・材質・クランプ方法の検討
- 工程フローの整理と「どこまで治具で持つか」の線引き
- 治具コンセプトの決定(単工程型か多工程集約型か)
- 3D設計・干渉確認・剛性検討
- 試作品治具の製作(CNC加工・溶接・3Dプリントなど)
- 評価・改良・最終仕様の確定
この一連の流れの中で、「工程集約」をどこまで織り込むかが、コストと納期に大きく影響します。
工程集約設計の判断軸
一言で言うと、工程集約設計の判断軸は「治具にどこまで仕事をさせるか」です。
具体的には、以下のような観点で検討します。
- 段取り回数:ワークの着脱回数を何回まで許容するか
- 位置決め基準:同一基準で多面加工できるか
- 工程順序:荒加工・仕上げ・検査のどこまでを一体化するか
- 自動化レベル:手作業前提か、ロボット・自動機対応か
- 改造のしやすさ:設計変更にどれくらい柔軟に対応したいか
最も大事なのは、「試作品の目的」に合わせて集約レベルを決めることであり、量産用レベルの徹底した集約が必ずしも正解ではない点です。
代表的な工程集約のパターン
工程集約設計では、次のようなパターンがよく使われます。
- 多面加工治具:1チャックで4面~6面の加工を行う
- インデックステーブル+治具:回転させながら多角度を加工する
- 加工治具+検査ポケット一体化:加工完了後にそのまま簡易測定を行う
- 複合機対応治具:旋削+フライスを同一セットアップで行う
例えば、インデックス付きの加工治具で4工程を集約し、段取りと着脱時間を大きく削減した事例では、段取り時間短縮と精度向上の両方が報告されています。
工程集約設計でどのようにコスト削減につながるのか?
コスト削減メカニズムの全体像
結論として、工程集約設計によるコスト削減の主な要因は、以下の通りです。
- 段取り時間の削減(ワーク着脱・芯出し・高さ合わせの回数減)
- 治具点数の削減(設計・製作・保管・管理コストの削減)
- 不良品の削減(基準面の一貫性による加工バラツキ低減)
- 工程リードタイムの短縮(仕掛品在庫の削減)
治具は単体で見るとコスト増に見える場合もありますが、生産時間と不良率を含めた総コストでは、むしろ大幅な削減効果が出るケースが多くなります。
定量的なイメージ
ある事例では、多機能治具で工程集約した結果、ワーク固定時間と取り外し時間が合計で1個あたり十数秒短縮され、時給単価を掛け合わせると1個あたり二桁円のコスト削減につながったとされています。
多品種少量の現場では、この時間短縮が「段取り替え回数×日々のロット×製品点数」に効いてくるため、年間では数百万円規模の削減につながる例も報告されています。
榊原工機が重視する視点
有限会社榊原工機では、「治具制作費」単体ではなく、以下のような観点で工程集約案を検討します。
- 試作から少量量産までを一つの治具でどこまでカバーできるか
- 現在保有している設備(マシニング・NC旋盤・ワイヤーなど)を最大限活用できるか
- 後々の仕様変更時に、追加工や簡易改造で対応できる設計になっているか
このように、単発の試作案件であっても、「再利用性」と「改造容易性」を織り込んだ工程集約治具を提案することで、中長期的なコスト削減に貢献することを重視しています。
工程集約設計を行う際の技術的なFAQ(判断の"勘所")
Q1. 試作品治具で、どこまで工程集約すべきですか?
答えとしては、「試験目的と数量、スケジュールを基準に決めるべき」です。
たとえば、仕様確認が主目的で数量が少ない場合は、最低限の位置決め・クランプに絞ったシンプル治具でも十分なことが多く、逆に将来の量産を見据えた耐久試験まで行う場合には、多面加工や自動クランプを含めた集約治具が有効になります。
Q2. 工程集約すると、治具が複雑になってかえって高くなりませんか?
一言で言うと、「単体価格は上がっても、トータルでは下がるケースが多い」です。
治具が複雑になるほど部品点数・加工工数は増えますが、段取り時間の削減や治具保管数の削減、不良削減による再加工費の低減まで考えると、総コストでは有利になる場合が多くなります。
Q3. 工程集約設計で特に注意すべき技術ポイントは?
最も大事なのは、「基準面・クランプ・剛性」を一貫して設計することです。
基準面の取り方が曖昧だったり、クランプ力の方向が加工方向と合っていないと、工程集約しても精度不良やビビリが発生し、かえってコスト増につながります。
Q4. 試作品治具に3Dプリンタを使うべきタイミングは?
結論として、「形状検討、干渉確認、操作性チェックなど、力があまりかからない用途」では3Dプリンタ製治具が有効です。
特に操作部のハンドル形状やワークの嵌合状態の確認には、短納期・低コストで検証できるため、金属治具の前段階として活用されるケースが増えています。
Q5. 工程集約治具の設計段階で、お客様と一緒に検討した方がよいポイントは?
一言で言うと、「役割分担と優先順位」です。
具体的には、図面段階から「この治具で何をどこまで担うか」「現場での使い勝手をどうするか」「将来の仕様変更の可能性」を共有し、不要な機能は削ぎ落とし、必要な部分はしっかり作り込むVA・VE提案が重要になります。
よくある質問(一問一答)
Q1. 試作品治具とは何ですか?
研究開発や試作段階で製造プロセスや性能を検証するために使う専用の治具で、本番量産治具の前段階として位置付けられるものです。
Q2. 工程集約設計のメリットは何ですか?
段取り回数と治具点数を減らすことで、作業時間短縮・治具費削減・加工精度向上を同時に実現できる点がメリットです。
Q3. 工程集約しない方が良いケースはありますか?
試作数量が極端に少なく、仕様変更の可能性が高い場合は、あえて単純な治具や汎用治具で対応した方が総コストが低くなることがあります。
Q4. 工程集約によるコスト削減効果はどう評価しますか?
1個あたりの段取り時間削減量に人件費と生産数量を掛け、治具費用との比較で投資回収が可能かどうかを判断材料とします。
Q5. 試作品治具の材料はどう選べばよいですか?
要求精度や使用回数、温度環境を踏まえ、低熱膨張で加工性の良い金属や樹脂などから、コストと性能のバランスで選定します。
Q6. 外注先に治具制作を依頼する際のポイントは?
治具の役割・要求精度・想定工程・見込数量を事前に共有し、設計段階からVA・VE提案や工程集約案を出してくれるパートナーかどうかを確認することが重要です。
Q7. 榊原工機に相談できる内容は?
手のひらサイズの金属小物部品の試作・治具部品加工から、工程集約を意識した治具設計の相談、既存図面のコストダウン提案まで幅広く対応可能です。
工程集約設計の実践的なアプローチ
設計フェーズでのポイント
工程集約治具を設計する際には、以下の順序で検討を進めることをお勧めします。
まず、ワークの形状と要求精度を明確にし、どの面をどの順序で加工するかの工程フローを描きます。次に、基準面の設定を行い、すべての加工工程で共通の基準から位置決めできるように配慮します。
クランプ方式については、加工中の切削抵抗に対して十分な保持力を確保しつつ、着脱のしやすさも考慮する必要があります。特に試作段階では、作業者の習熟度が低い場合もあるため、誰でも確実にセットできるシンプルな機構が理想です。
材質選定と熱対策
治具本体の材質選定も重要な要素です。アルミ合金は軽量で加工性に優れますが、精度維持や耐久性を考えると、鉄系の材料や焼入れ鋼を選択すべき場合もあります。
特に長時間の連続加工を想定する場合は、熱膨張係数の小さい材料を選ぶか、冷却機構を組み込むことで精度安定性を確保できます。
検証と改良のサイクル
試作品治具は「一発で完璧を目指す」よりも、「素早く作って評価し、必要に応じて改良する」というアプローチが効果的です。
初回は必要最小限の機能に絞った治具を製作し、実際に加工してみることで見えてくる課題(ビビリ、クランプ不良、干渉など)を洗い出します。その上で、本当に必要な機能だけを追加していくことで、過剰な機能を持たない最適な治具に仕上げることができます。
榊原工機の治具制作における強み
小ロット対応力
当社の最大の強みは、1個からの試作対応と、1~200個程度の小ロット生産に特化したノウハウです。
大手メーカーでは対応が難しい小ロット案件でも、当社では豊富な経験とフレキシブルな生産体制により、短納期・高品質での納品を実現しています。
設備の有効活用
マシニングセンタ、NC旋盤、ワイヤーカット放電加工機など、多様な設備を保有しているため、治具の形状や要求精度に応じて最適な加工方法を選択できます。
また、既存設備を最大限に活用できる治具設計を提案することで、お客様の設備投資を抑えながら生産性向上を実現します。
VA・VE提案力
単に図面通りに製作するだけでなく、長年の経験から培った加工ノウハウをもとに、コストダウンや品質向上につながる設計変更案を積極的に提案しています。
「この形状なら加工時間を半分にできる」「この公差なら測定工程を省略できる」といった実践的な改善提案により、お客様の製品開発をトータルでサポートします。
まとめ
- 試作品治具の工程集約設計は、「どこまでを1治具で完結させるか」を試験目的・数量・スケジュールから逆算して決めることが重要です。
- 工程集約により段取り時間・治具点数・不良品が減ることで、治具制作費を含めたトータルコストは大きく削減されます。
- 有限会社榊原工機は、手のひらサイズの小物部品と治具部品の少量~中量生産に強みを持ち、工程集約設計やVA・VE提案を通じて、お客様の試作・立ち上げのスピードとコスト削減を支援します。
試作品治具の制作や工程集約設計についてお悩みの際は、ぜひ一度当社にご相談ください。豊富な経験と柔軟な対応力で、お客様の製品開発を力強くサポートいたします。
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