NC旋盤加工で実現できる高精度部品製造 – 榊原工機のものづくり哲学

2025年9月29日
#ブログ
有限会社榊原工機|小物部品の少量~中量生産に特化|ガレージブランド・個人ブランド”の試作開発も

小物部品の製造において、「このくらいの精度で本当に大丈夫だろうか」「試作品だけど妥協したくない」そんな想いを抱えていませんか。

特にガレージブランドや個人ブランドを展開する方々にとって、部品一つひとつの品質が製品全体の価値を左右します。そして、その品質を支える重要な技術の一つが「NC旋盤加工」です。

この記事では、NC旋盤加工の基本から、具体的にどのような部品が製造できるのか、そして私たち榊原工機がどのような想いでこの技術に向き合っているかを詳しくお伝えします。

NC旋盤加工の基本原理と特徴

回転する材料を削って形を作る技術

NC旋盤加工とは、材料を高速で回転させながら、固定された刃物(バイト)で削り取る加工方法です。「NC」は「Numerical Control(数値制御)」の略で、コンピュータによって工具の動きが精密に制御されます。

この加工方法の最大の特徴は、材料の回転軸を中心とした対称な形状を高精度で作れることです。シャフト、ピン、ブッシュなど、円筒形や円錐形の部品製造において、他の加工方法では実現困難な精度を安定して達成できます。

なぜ高精度な丸物部品にNC旋盤が最適なのか

例えば、モーターのシャフトを想像してみてください。もしこのシャフトがわずかでも真円から外れていたら、モーター全体が振動し、異音の原因となってしまいます。

NC旋盤加工では、材料を回転軸の中心に正確に固定して削るため、以下の高精度な特性を実現できます:

  • 真円度: 断面がどれだけ正確な円形であるか
  • 円筒度: 円筒の表面がどれだけ正確な円筒形であるか
  • 同軸度: 複数の円筒面の中心軸がどれだけ一致しているか
  • 表面粗さ: 滑らかさの程度(摩擦や見た目に影響)

私たちが日常使用している精密機器の多くは、こうしたNC旋盤加工によって作られた高精度な丸物部品に支えられているのです。

多様な加工が可能な万能性

NC旋盤は単に材料を丸く削るだけではありません。一台の機械で以下のような多様な加工が可能です:

外径切削: 材料の外周を削って指定された直径に仕上げる 内径切削: 材料の内側を削って穴を開ける・広げる端面切削: 材料の端面を平らに削って長さを調整 溝加工: Oリング用の溝やプーリーの溝を形成 ねじ切り: ボルトやナットのネジ山を切る テーパー加工: 円錐形に削って嵌合用の形状を作る

これらの加工を組み合わせることで、複雑な機能を持つ部品も一台のNC旋盤で効率的に製造できます。特に小物部品では、この万能性が開発コストの削減と品質の向上に大きく貢献します。

榊原工機のクリエイティブなものづくり哲学

頭脳を旋盤のように高速回転させる思考プロセス

榊原工機では、「お客様のご依頼にいつもベストパフォーマンスで応えるために、クリエイティブにものづくりをしています」という信念のもと、NC旋盤加工に取り組んでいます。

お客様から部品製作の依頼をいただいた際、私たちのエンジニアの思考プロセスは次のように始まります。

「材料は角から削ろうか、丸から削ろうか」

この一見シンプルな選択が、実は最終的な部品の品質とコストに大きな影響を与えます。丸棒から削り出せば材料の無駄が少なく加工時間も短縮できますが、角材から削り出した方が加工中の固定が安定し、変形を抑えられる場合もあります。

限られたリソースを最大限に活かす戦略

実際の製造現場では、理想的な条件がいつも揃っているわけではありません。

「5軸加工機なら穴加工まで1台でできるけれど、あいにく今日は2台とも埋まっている。特急案件だから、すぐ動けるマシニングと旋盤で工程を組もう」

このような状況で私たちのクリエイティブな思考が発揮されます。NC旋盤の特性を深く理解しているからこそ、限られた設備の中で最適な加工戦略を瞬時に立てることができるのです。

細部まで最適化する匠の技

機械と加工順序が決まれば、具体的な加工プランの策定に入ります。

「どの順番で削るのがベストだろうか。固定治具は。プログラムは」

削る順番: 材料の熱膨張や切削抵抗による歪みを最小限に抑える順序を検討 固定治具: 加工中の振動を抑え、薄肉部品の変形を防ぐ工夫 プログラム: 材質や要求される表面粗さに応じた最適な切削条件の設定

私たちは常に「頭を旋盤のように高速回転させてベストな加工法を考えています」。この徹底的な最適化への取り組みが、他社では困難とされる高精度な小物部品の製造を可能にしています。

多能工エンジニアが支える高精度加工

豊富な経験と知識に基づく技術力

榊原工機が誇る「考えて動く多能工エンジニア」は、旋盤、マシニング、ワイヤー加工を特に得意とする「精密切削加工のプロ」です。

彼らの技術力は、高度なプログラミング能力だけにとどまりません。CAMソフトウェアを駆使した複雑なR加工やテーパー加工のパス生成、工具干渉のチェック、加工シミュレーションによるリスク回避まで、総合的な技術力で高精度な部品製造を支えています。

工具選定と加工条件の最適化

NC旋盤加工における部品の精度と表面品質は、使用するバイト(切削工具)と加工条件の選定によって決まります。

例えば、ステンレス鋼のような粘りのある材料では、切れ味の良い工具を選び、適切な切削速度で加工しなければ、工具の摩耗が早くなったり、表面が荒れたりしてしまいます。

私たちの多能工エンジニアは、長年の経験により、ワークの材質や要求される公差、表面粗さに合わせた最適な工具選定と加工条件の設定を行います。光沢のある美しい表面仕上げが必要な場合は、高速で浅い切り込みを行うなど、細部にわたる調整が可能です。

手のひらサイズの微細部品への専門性

榊原工機は「手のひらサイズの部品を中心に、小物部品なら何でも加工OK」を強みとしています。

微細なシャフト、ピン、ブッシュ、コネクタ部品など、小型化が進む製品に不可欠な精密部品の製造において、わずかな誤差も許されません。小さな部品ほど、わずかな誤差が製品全体の性能に大きな影響を与えるため、多能工エンジニアの熟練の技と精密なNC制御が特に重要になります。

金属から樹脂まで幅広い材質対応

「金属も樹脂もご相談ください」という言葉通り、私たちのエンジニアはNC旋盤を使って多様な材質の加工に対応します。

ステンレス、真鍮、アルミなどの金属はもちろん、POM、PEEK、MCナイロンといったエンジニアリングプラスチック(高性能樹脂)の精密加工も得意としています。

金属と樹脂では切削特性が大きく異なります。樹脂は熱に弱く、切削熱による変形や溶着が発生しやすいため、専用の工具選定と加工条件の設定が不可欠です。この幅広い対応力により、お客様は製品コンセプトに最適な素材を自由に選択できます。

NC旋盤加工で製造可能な具体的部品例

シャフト・スピンドル・ピン

用途と特徴 モーターやギアボックスの回転軸、精密機器の駆動部分、ヒンジや連結部の支点となる棒状部品です。高い真円度、円筒度、同軸度が求められ、表面粗さも回転精度や摩耗に直結します。

NC旋盤加工の優位性 CNC制御により、ミクロン単位で直径や長さを調整し、軸ブレのない完璧な回転を実現します。表面を非常に滑らかに仕上げることで、摩擦を最小限に抑え、製品寿命を延ばします。

具体例

  • 小型モーターのローターシャフト
  • 光学機器の精密スピンドル
  • 医療機器用プローブの先端ピン
  • 時計部品の微細軸
  • プリンターの送り軸

ブッシュ・カラー・スペーサー

用途と特徴 シャフトを支える軸受け(ブッシュ)や、部品間の隙間を埋める(カラー、スペーサー)部品です。他の部品との嵌合により正確な位置関係を保つため、内径と外径の同軸度が極めて重要です。

NC旋盤加工の優位性 精密な内径加工と外径加工を同一チャッキング(一回の固定)で行うことで、高い同軸度を実現し、ガタつきのないスムーズな嵌合を可能にします。

具体例

  • ベアリングの保持ブッシュ
  • 自動車部品のカラー
  • 航空機部品のスペーサー
  • 樹脂製電気絶縁ブッシュ
  • 防振ゴムと組み合わされる金属カラー

特殊ネジ・ボルト・ナット

用途と特徴 市販品では対応できない特殊なピッチ、形状、材質、微細サイズのネジ部品です。高い強度や耐食性、気密性、特定のデザインが求められます。

NC旋盤加工の優位性 複雑なネジ山(多条ネジ、台形ネジなど)や特殊なヘッド形状、フランジ付きボルトなども、CNC制御により正確に切削できます。

具体例

  • 光学機器の調整用微調整ネジ
  • 医療機器の固定用特殊ボルト
  • 航空機部品の軽量化チタン製ネジ
  • オリジナル製品の装飾ネジ

コネクタ・継手・バルブ部品

用途と特徴 流体(液体、気体)や電気信号の接続部に使われる部品で、高精度な嵌合や気密性、導電性が求められます。

NC旋盤加工の優位性 テーパー加工や内径・外径の精密な段付け、溝加工を組み合わせることで、漏れのない接続や正確な電気的接触を実現します。

具体例

  • 油圧・空圧機器の継手
  • ガス配管用コネクタ
  • 医療用カテーテル接続部品
  • 半導体製造装置の流体制御バルブステム
  • 高周波通信用精密コネクタ

お客様が得られる価値とメリット

圧倒的な高精度と安定した品質

NC旋盤加工最大のメリットは、ワークを回転軸の中心に固定して加工するため実現できる高精度です。

真円度、円筒度、同軸度といった幾何公差を高いレベルで達成することで、回転部分のブレ抑制、部品の滑らかな嵌合、製品全体の耐久性と信頼性の向上に貢献します。

ガレージブランドや個人ブランドにとって、製品への「こだわり」がNC旋盤加工によって細部まで具現化されることは、ブランド価値の向上に直結します。

柔軟な小ロット・試作対応

「榊原工機は少量・試作にトコトン強い会社です」という当社の特徴は、NC旋盤加工においても大きなメリットをもたらします。

NC旋盤は段取り替えが比較的容易で、多品種少量生産や試作開発に非常に適しています。多能工エンジニアの知識と柔軟な機械運用により、初期投資のリスクを抑えつつ、高品質な試作品を迅速に手に入れることができます。

製品開発の初期段階でアイデアを素早く検証し、市場の反応を見ながら製品をブラッシュアップしていく上で、NC旋盤加工は非常に強力な武器となります。

短納期・緊急対応への対応力

「特急案件だから、すぐ動けるマシニングと旋盤で工程を組もう」という柔軟な対応は、NC旋盤加工の機動力を示しています。

当社の多能工エンジニアは、その日の稼働状況に応じて最適な機械を選定し、効率的な工程を組むことで、お客様の急なニーズにも迅速に対応します。これにより製品開発のスピードを維持し、市場投入のタイミングを逃さないサポートを提供しています。

ワンストップでの問題解決

「加工に困った。納期に困った。いろいろ相談するよりも榊原工機1社で解決できることが多いです」というお客様の声が示すように、私たちは「ものづくりの駆け込み寺」として機能しています。

NC旋盤加工に関するあらゆる課題に対し、豊富な経験と知識、バリエーション豊かな設備群を駆使して、最適な解決策をワンストップで提案します。お客様は複数の業者との調整に時間を取られることなく、製品開発に集中できます。

あたたかい町工場での共創パートナーシップ

工場らしくない親しみやすい環境

私たちの工場は「工場らしくない外観が自慢」「工場に見えない町工場」「あたたかい町工場」と評価される、アットホームな雰囲気です。

木のぬくもりと緑にあふれた外観は、従来の工場の無機質なイメージを覆し、お客様が気軽に相談しやすい雰囲気づくりを大切にしています。

工場はホームセンターとお風呂屋さんに挟まれた場所にあり、2階には木の温もりを感じる事務所があります。階段下のピンポンを押していただければ、人懐っこい黒猫のノア君がお出迎えすることもあります。

密なコミュニケーションを重視した開発支援

このアットホームな環境だからこそ、お客様は「この丸物部品、こんなに精度出せるかな」「この素材でNC旋盤加工できるかな」といった技術的な悩みや、まだ漠然としたアイデアでも気軽に相談できます。

多能工エンジニアたちは、お客様の熱い思いや細かなニュアンスをじっくりと聞き、NC旋盤加工をはじめとする設備と知見を融合させ、最適な加工方法を一緒に見つけ出します。

「お急ぎの場合は社長がお話し好きなので、メールで返信を待つより電話して事情を説明することをお勧めします」という言葉が示すように、人間味あふれるコミュニケーションを通じて、より良いものづくりへと繋げています。

製品への深い理解に基づく提案力

高精度が求められるNC旋盤加工において、単に図面通りに加工するだけでなく、製品全体の性能向上につながる提案ができることが重要です。

私たちは自社製品「SAKAKI PUTTER」の開発経験を通じて、「製品全体として最高のパフォーマンスを発揮するためには、各部品にどのような精度と品質が求められるか」という視点からNC旋盤加工に取り組んでいます。

この経験により、デザイン性と機能性を両立させるための表面仕上げや、重心位置調整のための精密な重量コントロールなど、より高度な要求にも応えられるノウハウを蓄積しています。

まとめ:あなたのアイデアをNC旋盤加工で現実に

NC旋盤加工は、高精度な丸物部品を安定して製造できる現代ものづくりの重要技術です。そしてその技術を最大限に活かすためには、豊富な経験と知識を持つ多能工エンジニアの存在が不可欠です。

榊原工機では、「クリエイティブなものづくり哲学」のもと、お客様一人ひとりのニーズに合わせた最適なNC旋盤加工ソリューションを提供しています。

小ロット・試作から短納期対応まで、あらゆるご要望にお応えし、あなたの製品開発を成功に導きます。高精度な丸物部品の製造にお困りの際は、ぜひお気軽にご相談ください。

私たちは、あなたのものづくりにおける最高のパートナーとして、常に最適な解決策を提案することをお約束いたします。

お問い合わせ先 電話: 0568-36-1628 受付時間: 9:00-17:00(12:00-13:00を除く) 休日: 土・日・祝日

お急ぎの場合は、メールよりも直接お電話いただくことをお勧めします。直接状況をお聞かせいただくことで、より迅速な対応が可能です。

所在地: 〒486-0932 愛知県春日井市松河戸町2-5-15