「プログラムを作れるだけのオペレーターでは、この先は厳しくなるかもしれませんね」
と話すのは、愛知県春日井市の金属部品加工メーカー・榊原工機の榊原社長です。榊原工機では創業以来、「職人を育てる」ことに力を入れてきました。
最近はAIが製造現場にも本格的に入り込みはじめ、CADデータを読み込んでNCプログラムを自動生成し、干渉チェックのシミュレーションまでこなすサービスが販売されています。「加工プログラムを作れるオペレーター」の腕の見せ所が、いずれAIに取って代わられる日が来るかもしれない——そんな現実が、すでに目の前に迫っています。
ただ、だからこそ「職人仕事はなくならない」と榊原社長は言います。そこで今回は「オペレーターと職人の違い」をテーマに、詳しくお話を聞いてきました。
オペレーターと職人、その違いとは
まず、オペレーターと職人の違いを聞いてみました。
「マシニングセンターやNC旋盤を操作するのがオペレーターの仕事です。図面をもとに加工プログラムを作って、適切な切削工具を選んで機械の設定をして、製品を図面通りに製造するのがオペレーター。
職人はそれに加えて、加工に使う刃物を自分の手で研いだり、改造したりして加工に活かせる人のことです。道具を自分で調整したり、ちょっとした手作業ができたり…… 状況に合わせて仕事ができる人が職人だと思います」
NC機械を操作するためには正確なプログラミングの知識と機械操作スキルが必要で、それ自体は高度な仕事です。ただ、「その先」があると榊原社長は言います。
「例えば単品の加工で、1個1万円で受注した仕事があったとしましょう。それを加工するのに1万円の刃物を買ってしまっては、仕事としては何をやっているかわからないですよね(笑)。刃物を自分で研いで対応できる職人なら、自分で調整した刃物を使って同じ製品を作ることができます」
手でドリルを研ぐ技術が重要な理由
榊原社長は従業員の皆さんに、手作業で研ぐ技術を教えています。「手研ぎのローテクが活躍できる機会は確かに減っていますが、ゼロにはならない。手で研ぐ技術があれば、特急の仕事やちょっとした刃物の改造が必要な場面で柔軟に対応でき、稼ぐ力の源泉になります」
例えば銅の穴あけ加工では、市販品のドリルより逃げ角を大きくしたり片刃に改造したほうが、切りくずがスムーズに出るケースがあります。また、「隅に0.5Rの指示があるけど専用の刃物を買っていいですか?」と社員に聞かれると、「0.5Rぐらいなら手で作ってみなさい」と答えるといいます。公差が厳しければ専用品が必要でも、そうでなければ手で作るのも技術のうち——そういう判断と経験の積み重ねが職人を育てます。
さらに、汎用旋盤を使った仕上げ修正も職人ならではの技術です。「マシニングセンターやNC旋盤だけしか使えないと、できた製品にバリや傷があってもそのまま出すしかない。でも汎用機が使えると、0.01〜0.02mmほどさらっと削ってきれいに仕上げることができます」。榊原社長が口癖のように言う「神は細部に宿る」という言葉は、こうした仕上げへの姿勢から来ています。
「令和の職人」を育てる場所、榊原工機
「ハイテクなプログラムだけを覚えたオペレーターの仕事は、この先AIに代替されていく可能性があります。だったら、AIに取られない仕事をどんどん見つけていかなければいけない。それが、刃物を研いだり、汎用機で調整したりという、人間にしかできない手の技術です」
ローテクもハイテクも、どちらも大事——これが榊原社長の変わらないスタンスです。こうした考えのもと、榊原工機ではオペレーターとして入社した社員にも、汎用機の操作や刃物研磨を積極的に教えています。
「応募してくれた方には、よその会社とは違う会社ですよ、とお伝えしています。プログラムを覚えたオペレーターだけを育てるのではなく、一生ものの技術を身につけてもらえる場所でありたいと思っているんです」と榊原社長は教えてくれました。
そんな榊原工機では今、20~30代を中心に新しい仲間を探しているそうです。
「未経験でも全然OKです。ものづくりに興味がある人、数字に強い人。手先が器用なだけでなく、頭を使って考えられる人が向いていると思います。大きな会社に入ったけれど合わなかったという方にも、ぜひ声をかけてほしいです」
AI技術が急速に進歩する時代だからこそ、人間にしかできない「職人の技術」の価値は、むしろ高まっていくのかもしれません。
まとめ:単品加工・小ロット加工は、職人のいる榊原工機へ
榊原工機は、旋盤加工・マシニング加工・5軸加工を得意とする愛知県春日井市の金属加工メーカーです。単品加工・試作品・小ロット品から特急対応まで幅広く承っています。
手作業の技術を大切に育てながら、AI時代の変化にも柔軟に対応していく——そんな榊原工機に、部品加工のご相談をお待ちしております。名古屋エリアで金属部品の加工先をお探しの方は、お気軽にお問い合わせください。
(インタビュー・構成=ものづくりライター 新開潤子 https://office-kiitos.biz/)
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