旋盤とは
ものづくり、切削加工において基本となるのが「旋盤加工」と「フライス加工」。この二つが大きな加工方法だと思ってください。今日はこの旋盤加工の話をします。
旋盤加工とはどんな加工か。イメージとしては、ろくろを想像してみてください。ろくろでできる製品は丸いものですよね。あんなふうに素材を削り出して丸いものを作るのが旋盤加工です。手の代わりに工具を使って丸いものを削り出す。この工具のことを刃物、バイトなどと呼んでいます。
昔はこの旋盤に「バンコ」なんて名前をつけてかわいがる人もいました。それぐらいものを大切にしていた時代なんですよね。間違っても、不良品を作ったからといって旋盤を叩くなんてことは、一流の職人はやらなかった。「ものは、これを生かす人に集まる」という言葉がありますが、まさにそんな時代でした。
さて、刃物を使って丸いものを削り出す。一番簡単なのは外径です。外側を削る。次は内径。内径となると、ドリルで穴を開けてから内径バイトで削っていくんですが、切粉が絡んで刃物が折れるなんてことも起きる。だから内径加工は少し難しい。そして「これができたら一人前だよ」と言われたのが、ねじ切りです。
今のNC旋盤と違って、汎用旋盤の送りはギアの組み合わせで変える構造。大変ローテクです。ねじ切りでも、目的の数字のところまで来たら目盛を見てハンドルを手で上げる、という操作が必要になる。まさに職人の世界でした。
NC旋盤なら一瞬でできることに、汎用旋盤は結構な時間をかけていました。生産性で考えれば、NC旋盤で100個作るのに1日だとしたら、汎用旋盤なら3日、5日とかかってしまう。それぐらい効率の悪い機械……というか、これがものづくり、旋盤加工の原点なので致し方ないんですけれど、それが汎用旋盤です。
ただ、この汎用旋盤で技術を身につけておくと、NC旋盤を使ったときに「今、切粉が噛んでるから変な音がしているんだな」とか「これだけ切り込みを入れるとチップが折れるな」とか、そういうフィードバックがしやすい。だから汎用旋盤をマスターすることは、NC旋盤を極める上で必要だと私は思います。
もっとも、NC旋盤もこれからAI化が進みます。おばあちゃんの知恵袋じゃないですが、職人の経験値がAIに反映されて、そのあたりもAIが見てくれる時代が、もうすぐそこまで来ていると思っています。
それでも、汎用旋盤が工場の片隅に一台あれば、「ちょっと外径を削りたいな」「丸棒に穴を開けたいな」と思ったら、サクサクッと作れる。ちょっとした開発に使うのにも大変便利な機械です。
最後に安全の話を。汎用旋盤は送りのときにハンドルが回るんですよね。昔はこのハンドルに作業服が巻き込まれて、危うく大事故につながったなんてこともありました。チャックもむき出しなので、あるとき掴んでいた製品が外れて、危うく顔に当たるところを、耳の横を「ブンッ」という音とともに飛んでいった──なんて話を、私の父親がしてくれました。もう50年以上前の話です。汎用機は今のNC機と違ってカバーがないので、危険と隣り合わせの機械とも言えます。
とはいえ、きちんと使っていればまず怪我をすることはありません。工作機械の中では、汎用旋盤は安全な部類に入る機械ではないかなと私は思っています。
以上、汎用旋盤についてのお話でした。