汎用フライス
今日は汎用フライスのお話をします。
ものづくりの原点は「丸もの」と「四角もの」。そのうちの四角ものを削り出す機械が、フライスです。
どういう機械かというと、製品を固定して、刃物を動かす。刃物を動かすといっても、基本はX軸とY軸。そしてZ軸、つまり縦方向で切り込みを入れる。そういう動かし方をするので、できてくる製品は直方体とか立方体とか、いわゆる四角いものになるわけですね。だから「角物(かくもの)」とか「四角物」とか呼ばれます。この四角物を削り出す、その一番の原点となるのがフライスという工作機械です。
フライスでは、主にエンドミルやドリルといった刃物を使って削り出していきます。
マキノのフライスは町工場のステータスだった
この写真のフライスは、マキノという会社のフライスで、当時としてはすごくたくさん売れていた機械です。また「昔」というキーワードが出てきますけれど、今から50年以上前、と覚えておいてもらえればいいですね。
その頃、マキノのフライスといったら、町工場では一つのステータスのようなものがありました。もちろんもっといい工作機械もあったわけですが、高すぎて町工場レベルでは手が出ない。「割りかし高い機械」というところで、このマキノが重宝されていたんです。
デジタル表示が5.00でも、実際は5.00じゃない
この機械を使ってものを削っていくわけですが、ご覧のように目盛りしかありません。後々、後付けでデジタルスケールのようなものも付けられるようになったんですけれど、実はこれ、表示が5.00と動いたとしても、実際には5.00動いていないんですよね。
この機械には「ガタ」というものがあるんです。ハンドルを右に回して合わせるゼロと、左から合わせるゼロ。実はこれ、コンマ何ミリかズレがあるんです。
なので合わせるときは、必ず同じ方向から合わせる。右回しでゼロ。行き過ぎたらハンドルをもう一回戻して、また右回しでゼロ。こうやって合わせないと、ダイヤルやデジタルの表示が5.00になっていても、実際は5.00になっていない。
だから、この機械で百分の一(0.01mm)の仕事をするというのは、本当に神技でしたね。旋盤のときにも言いましたけれど、もしその当時、三次元測定器というものがあって厳しく測定されていたら、ほとんどのものは不良になっていたでしょうね。
公差は何のためにあるのか
この公差というのは本当に癖ものです。設計者はもちろん、はめ合いを成立させるために公差を入れるわけなんですけれども、極論から言えば「製品がはまればいい」「きちんとはまってスムーズに動けばいい」。そういう目的のために公差があったわけです。
ところが、いつしか「公差ありき」のものづくりになってしまった。それが現在の日本のものづくりなんですね。
これには、いい面も悪い面もあります。極論で「はまればいいんでしょ?」という話になってしまうと、長嶋茂雄さんのような言い方になっちゃいますけれど、スッとはまればいいものが、スッじゃなくてガタガタッとはまる。0.01の公差のはずが、0.1くらいの公差の状態ではまる。さすがにこれではダメでしょう、というところから、公差というものがきちんとできてきたわけです。
ですけれど、今の風潮では、0.02が0.025になったからNG品。しかも量産品じゃなく、試作品ですよ。商品として世に出るものではない試作品で、0.025だから不良だ、という会社が実はあるんですよね。こういうのを見ると、本当にものづくりを知らない人だなと思って、ちょっと悲しくなるのが現状です。
……ちょっと話が逸れちゃいましたね。
まとめ
こんなふうに、これからもいろいろな工作機械を紹介しながら、話はまた戻ってくるつもりですけれど、今日はこれだけ覚えていただければ幸いです。
汎用フライスは、四角いものを削り出す、ものづくりの原点。
それでは、また明日。