第58回:バイスで挟める割出し台「コンプルデックス」

2026年8月8日
#社長ブログ
有限会社榊原工機|小物部品の少量~中量生産に特化|ガレージブランド・個人ブランド”の試作開発も

前回、三つ爪チャックに板をネジ止めして、バイスで掴めるようにした話を書きました。今日はその発想を、そのまま製品にしてしまったものを紹介します。

写真のこれ、「コンプルデックス」という道具です。作っているのは石川県金沢市のニシムラジグさん。販売は、以前バリ取りの回でも紹介したnjiさんです。

……またそこかと思われるかもしれません。ブログを書き始めてから、やたらと金沢の名前が出てきますが、別に回し者ではありませんので、そこは誤解のないように。本当に便利だから使っている、それだけです。

さて、これが何かというと、マシンバイスで挟める小型のインデックス(割出し台)です。

有限会社榊原工機|小物部品の少量~中量生産に特化|ガレージブランド・個人ブランド”の試作開発も

普通、割出し加工をやろうと思ったら、テーブルの上のバイスを外して、割出し台を据えて、芯を出して……という段取りが必要になります。この道具は、その「バイスを外してインデックスを取り付ける」という段取り替えの時間を丸ごと省いてしまおう、というものです。バイスはそのまま。挟むだけ。

うちでは主に、丸ものの端面に穴を開けるような仕事で活躍しています。90度ずつ回して四箇所、といった簡単な割出しなら、これで十分。丸棒端面の加工やスパナ掛けの二面取りなど、多品種少量のフライス作業には本当に向いています。

精度の面も、直角度や外形と中心の振り分けが2/100以内ということで、この手の簡易的な道具としては十分な数字です。分割数は24、副尺で10分まで読めますので、細かい角度の割出しにも対応できます。写真の2枚目が、その目盛の部分です。

重量も、うちで使っているサイズで10kgちょっと。本格的な割出し台に比べれば、片手で持って据えられる軽さです。この「気軽に出せる」というのが、実は一番大きい。段取りが面倒な道具は、結局使われなくなりますから。

もちろん、これも万能ではありません。前回書いた三つ爪チャックの話と同じで、掴める大きさには限りがあります。大物になれば、素直にちゃんとした割出し台を出すか、別のやり方を考えます。

要は、仕事の大きさと数に合わせて、道具を選び分けるということです。小さい仕事に大がかりな段取りをかけるのは、それ自体が無駄になる。逆に、大きい仕事を簡易な道具で無理やり片付けようとすれば、精度も安全も損なわれます。

そのあいだの「ちょうどいいところ」を埋めてくれる道具が、うちの現場にはいくつもあります。コンプルデックスは、その代表格のひとつですね。