提案・試作事例

[機械加工の基本]フライス加工について、超基本的なことから解説

フライス加工って、どんな加工ですか?

今回は最近お問合せの多い「フライス加工について」、
超基本的なことから、改めて説明してもらいました。

説明してくれたのは、フライス加工歴40年のプロ、
榊原工機の榊原社長です。社長、よろしくお願いします!

有限会社榊原工機|小物部品の少量~中量生産に特化|ガレージブランド・個人ブランド”の試作開発も

フライス加工とは、金属の加工対象物を固定して、回転する刃物を当てて削り出す加工です。素材の表面に溝や段差などの形状を作ることができます。装置あるX軸(作業者から見て横方向)、Y軸(作業者から見て奥行き方向)という2つの軸を動かして加工するので、対象製品の形状は四角になります。また、加工の現場では、穴開けやタップ加工をフライスで加工するケースも多くあります。

榊原工機にはフライス加工が可能なさまざまな機械が揃っているので、実際の機械で詳しく見ていきましょう。

汎用フライス盤

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昔はどこの町工場でもあったという汎用フライス盤は、基本的に手動で動かす加工機です。汎用フライス盤のメリットは主に、

①段取り性が良い…… プログラム不要ですぐに加工できる

②接近性が良い…… 作業者が機械に近付いて、小物の穴あけなどがすぐ簡単にできる

という2点です。

 単品小ロットの加工のご依頼が多い榊原工機では、プログラム不要ですぐに加工に取りかかれることは大きなメリットです、逆にデメリットとして、この機械で±0.01などの公差を出すのは難しく、量産には向かない、というデメリットもありますので、ご依頼の内容に合わせて最新設備と使い分けています。

ちなみにこの汎用フライス盤、1989年に榊原社長が勤め先の工場から独立するときに、退職金代わりにもらったという歴史いっぱいの機械です。既に製造から50年以上が経ちますが、榊原工機では今も現役で活躍しています。

NCフライス

まず、NCとはNumeric Control、つまり数値制御できる機械という意味です。汎用フライスが手作業・手調整で加工していたのに対し、この機械では数値を入力してプログラムを作ることができるので、±0.01の公差の加工ができます。また、汎用フライスではできない曲面の加工(R加工・円弧加工)も、NCフライスなら実現可能です。

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榊原工機にあるNCフライスは、もちろんプログラムを作ることもできるのですが、実は対話のプログラムにも対応しています。対話のプログラムというのは、たとえば「板状のワークに通し穴を4等分であける」という指示をすると、間隔を4等分にしたセンター穴のプログラムができるという簡易的なプログラム方法です。



実は、加工の現場では普段の仕事はこれでことが足りることも多く、マシニングセンターのように細かくプログラムを作って加工をするよりも、速く簡単に加工できるケースもあります。製品の一部分がR形状になっているとか、製品の真ん中をポケットのように加工するとか、手作業では難しかった加工がNCフライスでは簡単に実現できるという感じですね。

マシニングセンター(山崎技研製SG)

続いて、マシニングセンターを紹介します。NCフライスとマシニングセンターの違いは、左側にATC(自動工具交換装置)がついているかどうかです。また、この機械ではZ軸(作業者に対して縦方向)が追加され、3軸で数値制御が可能になりました。

有限会社榊原工機|小物部品の少量~中量生産に特化|ガレージブランド・個人ブランド”の試作開発も
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こちらが榊原工機にあるSGATCです。この機械はNCフライスにATCをつけてマシニングセンター化した機械ですが、ATCがついたことで、マシニングセンターならではの複雑な加工ができますし、ハンドルがついていて対話のプログラムにも対応もできる点が特徴です。単品・小ロットでもプログラムで正確な加工ができるので、重宝しています。

 

ちなみに、マシニングセンターの名前の由来は、センターに着いてるテーパーの主軸のことをセンターといい、センターを交換するマシニング(切削加工機)ということで、マシニングセンターという呼び名になったようです(諸説あり)。

マシニングセンター(オークマ)

こちらは、オークマ製の本格的なマシニングセンター MB-56VAです。先ほど紹介したSG XYZ3軸の加工機ですが、いちばんの違いは、密閉式になっているかどうかです。

密閉式のマシニングセンターでは水溶液を流しながら加工できるので、刃物を高速で回転させられるようになりました。この機械では、1分間に15,000回転まで回すことができます。

回転数が上がることによる一番のメリットは、細かい加工ができることです。当社では最小で直径0.3mmのエンドミルまでつかんで加工した実績があり、細穴加工や微細加工にも広く対応できます。金型部品や三次元加工など、加工の範囲がどんどん広がっています。

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 気になる加工の精度については、カタログ値では1/1000mm(千分の一、0.001)まで出せることになっています。実際の現場では1/1000まで求められることはあまりないのですが、当社の加工実績でも5/1000mmくらいは普通に出ています(東京精密製三次元測定機による測定実績)。

この機械での加工にはプログラムが必要なので、たとえば1個のご依頼でこの機械を使うと、プログラム時間が加工時間を上回ってしまうケースもあります。逆に50個、100個など数があるご依頼では、一度のプログラムで同じ加工を繰り返し行えるので、加工の効率は大幅に上がるのでお客様へのメリットも大きくなります。

 このように、ご依頼に合った機械を選定して、ベストプラクティスで対応できるのが榊原工機の強みでもあると思います。

5軸加工機 

では榊原工機のハイエンド機、5軸加工機 MU-400VⅡ(オークマ)をご紹介します。これまで紹介した機械はXYZ(縦・横・高さ)の3軸でしたが、5軸加工機ではあと2軸が追加されています。追加されたのは、テーブルが回転するC軸と、下の台がゆりかごのように動くトラニオンテーブルのB軸です。

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この5軸を同時に動かすと、船のスクリューやターボチャージャーなどの立体的な加工、他面加工ができます。ですが実際には手のひらサイズのスクリュー加工のご依頼はありませんので、当社では主に割り出して使っています。

 

「割り出し」をご説明するために、まずサイコロをイメージしてください。1の反対の面が6になっていますよね。5軸加工機では、6の面を一度掴めば、123455面を一度に全部加工することができます。このとき、2の面の2つの穴の中心と、5の面の真ん中の穴の中心を正確に合わせなければいけないような加工の場合、1度つかむだけで同時に加工できるので、高精度加工を実現できます。

有限会社榊原工機|小物部品の少量~中量生産に特化|ガレージブランド・個人ブランド”の試作開発も

このケースでは、3軸の加工機だと1面ずつ掴み直す必要がありますので、手間が増えるだけでなく、穴位置が若干ずれる可能性もあります。5軸なら1度掴めば6の面以外は一度に加工できるので、高精度、工程集約というメリットが大きくなります。また斜め穴などの立体的な加工も、固定治具などを準備しなくても加工することができます。

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ちなみに、榊原工機の自社ブランドのゴルフパター「榊パター」の加工も5軸加工機で行っていますよ!

写真は5軸で加工途中の榊パター。製品版は特設サイトでご確認ください。

 

榊パター(SAKAKI PUTTER)特設サイト
https://sakakiputters.com/

まとめ

榊原工機には、汎用フライスから5軸加工機まで、バリエーション豊かなフライス加工の機械が揃っています。これらの機械を駆使して、手のひらサイズの加工のお仕事のご依頼には何でも対応可能です。

特に100個以下の小ロットのマシニングセンターのお仕事は何でも対応できます。また、1個、2個での加工のご依頼もたくさんお請けしています。ご依頼に合わせてベストな機械を選定し、2次元加工、三次元加工を守備範囲広く対応していますので、フライス加工、マシニング加工のご依頼をお待ちしております。

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